【ベルリン時事】新型コロナウイルスの感染拡大阻止で、一般市民が幅広くマスクを着用すべきかの議論が欧州で拡大している。欧州では有症者が着けるものとの認識が一般的だが、広く普及しているアジアで感染が比較的抑えられていることが着目され、「着用者は変人」といった偏見をなくすため、症状に関係なく使用を義務付ける例も出始めた。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は1日の記者会見で、有症者が着用すべきだとの従来の見解は変えていないとしたものの、「広範な使用についての議論がある」と指摘。有効性の調査を進めていることを明らかにした。
 マスクは着用者の予防効果は薄い一方、他人への飛沫(ひまつ)感染を防ぐ効果があるとされる。こうした認識から欧州ではマスクが「病気の証し」と扱われがちで、着用には抵抗感が強い。着用者のアジア人が差別されるケースもある。一方、新型ウイルスは感染者が無自覚に拡散する例もあり、幅広い着用が結果的に拡大を防ぐという指摘もある。
 オーストリアのクルツ首相は先月30日、スーパーでの買い物時にマスク着用を義務付けることを決定。ドイツ東部イエナ市も同様の措置を決めた。同市のゲルリッツ市長はシュピーゲル誌のインタビューで「マスクをしていても変人でないと、市民の意識を変えたい」と話した。

2020年04月04日14時10分
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