政府チャーター機の帰国者やクルーズ船の乗船者など、新型コロナウイルスに感染した百人以上の患者を受け入れてきた東京都立駒込病院(文京区)に、三月末から四月初めにかけて住民や団体から千枚近い医療用マスクが寄贈されている。同病院の今村顕史感染症科部長は「小さな奇跡だ」と感謝している。

 駒込病院は感染症指定医療機関だが、感染症専用のベッドは三十床。一月からチャーター機やクルーズ船に加え、都内の患者を受け入れた。都内では三月下旬から患者が急増。二十四時間態勢で診療に当たる医療スタッフは疲労が蓄積し、追加したベッドも埋まりつつある。マスクの備蓄はあるが先行きは不安だ。

 そんな中、三月末以降に都内や他県の五人から、手術用マスクやウイルスを通さない目の細かいマスク、使い捨ての防護服などが相次いで郵送されてきた。団体からの寄贈を合わせるとマスクは千枚近くに。病院の窮状をニュースで知って送ってくれたらしい。「懸命な医療活動ありがとう。東日本大震災の際に購入したマスクです」と手紙が添えられたものもあった。

 石井隆史庶務課長が今月一日のミーティングで医師や看護師らに伝えると、自然に拍手が起き、「頑張ろう」との声も上がった。

 「現場の励みになる」と喜ぶ石井さん。今村部長も「マスクを購入するのが大変なことは全てのスタッフが知っている。涙が出るほど感動した」と話している。

2020年4月4日 13時53分
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020040490135303.html
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