能登の平安を祈る、羽咋市の気多大社の例大祭が3日、境内であり、大蛇の目を模した的を刀などで刺す「蛇の目神事」が営まれた。

 神門の下に、黒目に見立てた的が掲げられ、松尾孝夫名誉宮司ら神職3人が弓矢、やり、刀の順番で代わる代わる突き立てた。3回目に、松尾名誉宮司が「えいっ」の声とともに刀でとどめを刺した。

 神事は、祭神の大国主命が、市内の邑知潟の大蛇を退治し、能登を平定したという伝承による。的となった紙は、目の健康の御利益があると伝わり、例年は人だかりができるが、今回は新型コロナウイルス感染症の拡大防止で神職と祭典奉仕者のみとし、訪れたのはごくわずかだった。

 富山市の道端弘子さん(72)は「いつも鵜様道中でお世話になっているので。天気にも恵まれたし、この先明るくなれば」と祈った。松尾名誉宮司は「大社の祭神はもともと能登の平安を祈っており、まさしく大切な祭りと再認識して御奉仕した」と語った。 (林修史)

2020年4月4日
https://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20200404/CK2020040402000030.html
https://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20200404/images/PK2020040302100307_size0.jpg