■1人がうつす二次感染者数

今月1日、厚労省専門家会議は3月中旬以降の国内の感染状況について分析結果を発表した。感染症の流行には、1人の感染者からうつった二次感染者数の平均値を目安とするが、3月上旬の「実効再生産数」は1未満だった。しかし同15日には1を超え、特に東京都では推定値「1.7」まで上昇した。

都市部では、若い世代に対して行動を見直す声が高まっているが、最近では、中高年世代が、夜の歓楽街や、合唱・ダンスサークル、高齢者・福祉施設などでクラスター(感染者集団)発生の原因になってきている。

特に東京・台東区の永寿総合病院での院内感染は、屋形船の感染者と関連している可能性が指摘されているが、こちらも全貌がつかめておらず、注意が必要だ。

■オーバーシュートは起きてない

また流行国から帰国した人などの輸入症例は、三連休があった3月22日?23日ごろには全体の4割近くを占めるまで増えたが、最近ではやや減少傾向にあるという。

厚労省の専門家会議は、東京や大阪などの都市部を中心に感染者が急増していると認めながらも、諸外国のようなオーバーシュート(爆発的患者急増)には至っていないと結論。

自治体ごとに状況がわかるレベル導入を

そのうえで、今後は自治体ごとに感染の蔓延状況や医療体制の逼迫状態が判断できるよう、3段階の警戒レベルを導入することを提言している。

具体的には感染者数が急増している警戒レベルが最も高い自治体を「@感染拡大警戒地域」として、オーバーシュートを防ぐための取り組みについて、知事や市町村長が外出自粛の要請や、集会・イベントへの参加抑制、多人数での会食の自粛などのメッセージを発信できるようにする。

次いで、直近1週間の新規感染者数が、その前週と比べて一定程度にとどまっている自治体については、「A感染確認地域」に指定。また、感染者が確認されていない自治体では、「B感染未確認地域」として、屋外でのスポーツやスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用、イベントなどについて、一定の条件をつけたうえで実施できるようにするとしている。

専門家会議は「オーバーシュートが起きると医療崩壊が起こると考えられているが、それは誤解で、現状を考えれば爆発的感染の前に、臨床現場では機能不全が起こっている」として、あらためて意識と行動の変革を訴えている。

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2020年04月03日 11時24分
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