コラム【コロナショックが招く連鎖不況】

 3月下旬にトヨタ自動車とNTTが業務・資本提携を発表し、2000億円規模の相互出資を表明した。

 2021年には静岡県にあるトヨタの工場跡地に、「スマートシティー」を建設する予定とも明かした。

 スマートシティーとは、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、再生可能エネルギー、環境に配慮した交通システムなどを駆使した“新しい街”だ。

 日本を代表する大手2社が手を組んで“新しい街”づくりに動き出す。

「その意味は大きいと思っています。実は、両社のスマートシティー構想をきっかけに、兜町界隈で別の新しい街づくりが話題に上っています。新型コロナの感染拡大がもたらす首都移転です」(市場関係者)

 東京の首都機能を移転させる“遷都構想”が市場のテーマになりつつあるというのだ。

「過去の遷都を調べると、疫病がきっかけになるケースが見られます。奈良時代に、平城京から京都の長岡京に遷都したのは、寺院勢力の影響を排除するためと、都の衛生状態が劣悪になったためといわれています。長岡京から平安京への遷都は、疫病が理由だったとの説があります。感染症の蔓延は遷都を連想させるのでしょう」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 これまで遷都は何度となく取り上げられてきたテーマだ。

 1990年に国会で「国会等の移転に関する決議」がなされ、92年には「国会等の移転に関する法律」が成立。99年には「国会等移転審議会答申」が出された。

 答申は移転先候補を3つに絞っている。栃木・福島地域、岐阜・愛知地域、三重・畿央地域だ。

 新首都の在り方に、新しいネットワークシステムの構築や、環境への配慮などを挙げている。

「新型コロナ感染拡大の終息は見えませんが、経済へのダメージは計り知れません。日本経済をどう立ち直らせるか。遷都の経済効果は膨大です。東京一極集中を是正するためにも今後、考えなければならないテーマです」(清水秀和氏)

 首都直下型の大地震はいつ発生しても不思議ではない。

 新型コロナがもたらす首都封鎖による経済損失は5兆円を超すとの試算もある。

 90年代に遷都が話題になった時、移転費用は10兆円規模と見積もられていた。

「自民党は経済対策として財政支出20兆円、事業規模60兆円を提言しましたが、遷都効果はもっと膨大でしょう。スケールにもよりますが、100兆円規模の経済効果が期待できるかもしれません」(前出の市場関係者)

 新型コロナの感染拡大に終息は見えず、コロナ恐慌は深度を増すばかりだ。連鎖不況を食い止めるには、市場が囁く遷都も選択肢のひとつかもしれない。

4/4(土) 9:26配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200404-00000021-nkgendai-bus_all
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200404-00000021-nkgendai-000-view.jpg