「外出自粛に従わないで出歩く若者がウイルスを撒(ま)き散らしていると叩かれているのに、このジジババたちはいいのかよ」――。

“お祭り騒ぎ”にブレーキを! ウイルス報道のガイドライン

いよいよ国が「緊急事態宣言」を発出する中で、SNSで拡散されたある写真に、若者たちが怒りの声をあげている。その写真とは4月4日、「おばあちゃんの原宿」として知られる「巣鴨地蔵通り商店街」で撮影されたもの。毎月4のつく日に開催されている恒例の縁日に、多くの高齢者が訪れて、楽しそうに商店街を歩いているのだ。

現在、国、自治体、そして医療関係者が「医療現場が悲鳴を上げているからこれ以上、感染を広げないように外出を自粛して」と喉を枯らして訴えている。しかし、これに従わない「バカ者」もいる。政府や東京都の説明ではこれは、主に学校が休校になったことで、渋谷に遊びに行くような十代や、繁華街で飲みに行っている若い世代だという。

ただ、この写真を見れば、必ずしもそうではないことがよく分かる。事実、クロス・マーケティングが3月27〜29日にかけて、全国の20〜69歳の男女計2500人にWeb上でアンケートを取ったところ、商業施設への買い物、外食、旅行、トレーニングという主に外出が伴う活動11項目で全てトップなのは60代で、20代のほうが圧倒的に外出自粛していることが分かっている。

要するに、「ウィルスを撒き散らしているのは若者」という話は、政治家の「票田」である高齢者へ配慮するためのスケープゴートであり、「老いも若きも外出自粛に従っていない」というほうが実態に近い可能性があるのだ。
.
■「不要不急の外出はやめて」という訴えも

では、なぜ我々日本人は、死者が多数でている国の人々たちや、医療関係者が「今回ばかりはマジでヤバイから不要不急の外出はやめて」という必死の訴えに素直に従うことができないのだろうか。

ご存じのように、我々は東日本大震災など被災地での秩序ある行動などで、よその国の人々から「世界一規律が正しい」なんてヨイショされることが多い。そのため、海外の人たちは当然、今回もその国民性がいかんなく発揮されていると思っている。例えば、J1柏レイソルを率いるブラジル人のネルシーニョ監督は先月、母校のメディア『グローボエスポルチ』にこのように述べている。

「ここ日本は、とても規律正しい人たちばかりだ。彼らは、大規模イベントを3月中旬までに中止するよう求める政府の要請に応じている」(Football ZONE web/3月15日)

そんな規律正しい人々なら、「不要不急の外出は控えて」という要請にも素直に応じるはずなのだが、現実はそうなっていない。こうしている今も繁華街は若者だけではなく、高齢者も普通に歩いている。

トイレットペーパーやマスクのために開店前からドラッグストアにきれいに並ぶようなマジメさや、大規模イベントを右にならえで中止をする従順さがあるのに、「外出を控えて」の呼びかけだけはなぜかガン無視――。この差はいったいどこからくるのか。

まず、考えられるのは「もし感染しても自分は重症化しないでしょ」と甘く見ている人が多いということだろう。感染拡大している他国でも当初このウイルスを、高齢者や基礎疾患のある人々だけが気をつければいいものだと捉えていた傾向があったので、日本でも同様の誤解が広まっていると考えられるのだ。

そこに加えて、ネットやSNSで情報を入手している人たちの場合、「新型コロナより経済活動が停滞するほうが怖い」という考えに基づいて、過度な自粛を控えている可能性も高い。

このような緊急事態下で、政府や自治体のスタンスを正確に報道しなくてはいけないテレビや新聞というマスコミではほとんど大きく扱われないが、実はネットやSNSでは、「外出自粛なんてやり過ぎだ」という意見も少なくない。そのような主張をする方たちの論拠はざっとこんな感じである。

・毎年インフルエンザで万単位の人が死んでいるのに、それほど死者の出ていない新型コロナを大騒ぎし過ぎ。
・BCGを接種している国は症状が軽いので、日本も欧米のように大量の死者がでるわけがない。ロックダウンはもちろん、外出自粛など必要ない。
・外出を自粛して経済活動をストップさせたら、つぶれる店や企業が大量に出て、失業や収入源でコロナよりも死者が増える。

■「新型コロナ報道」に疑問

4/7(火) 9:17 ITmedia ビジネスオンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200407-00000022-zdn_mkt-bus_all&;p=1