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新型コロナ、黒人の感染割合突出 医療水準の低さ背景―米
2020年04月08日20時32分

 【ワシントン時事】新型コロナウイルス感染者が世界最多の米国で、黒人の感染者や死者の比率が他の人種と比べ突出していることが問題になっている。日常的に提供される医療水準の低さなどが背景にあるとみられる。米国に根強く残る人種間格差が非常事態下で露呈した形で、トランプ大統領も7日、対応に乗り出す考えを示した。


 7日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が伝えた州レベルの統計によると、中西部イリノイ州で黒人は人口の15%だが、感染者の28%、死者の43%を占める。人口の約3分の1が黒人の南部ルイジアナ州は、新型コロナウイルスによる死者の約7割が黒人だ。人種別の統計を公表していない州も多いが、全米で同様の傾向が出ているもようだ。

 自身も黒人のアダムズ米医務総監は7日、CBSニュースで「黒人には糖尿病や心臓病、呼吸器疾患を患っている人が多い」と指摘。黒人には貧困などの影響で持病を抱える人が多く、感染した場合に重篤化するリスクの高いことが、人口比の割に死者が多い一因だという見方を示した。
 米公衆衛生協会のベンジャミン常任理事は、AFP通信に「黒人にはバス運転手のほか福祉施設や食料品店勤務といった(外出規制下でも仕事を続ける)職種の人が多く、公共交通機関で通勤する人も多い」と説明。他人と接する機会が多い分、感染リスクも高くなると分析している。

 トランプ氏は7日の記者会見で「なぜアフリカ系米国人の(感染者の)比率が、それ以外の人々の何倍もあるのか、調べなければならない」と述べ、全力で対応する意向を表明。会見に同席したファウチ国立アレルギー感染症研究所長は「現状(の医療環境)からみて、感染したアフリカ系米国人が重篤化するパターンは続くと考えられる」と懸念を示した。