2012年12月に9人が死亡した中央自動車道笹子トンネル(山梨県大月市)の天井板崩落事故で、業務上過失致死傷容疑で書類送検されて不起訴となり、甲府検察審査会が「不起訴不当」と議決した点検担当者2人について、甲府地検は9日、改めて不起訴(容疑不十分)とした。地検は「前回の処分を覆して過失責任を問うのは困難」と説明した。関係者の刑事責任が問われることなく、一連の捜査は終結した。

 山梨県警は17年、中日本高速道路と子会社「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」の当時の社長や両社の点検担当者ら計8人を同容疑で書類送検。その後、甲府地検は全員を不起訴(容疑不十分)とした。遺族は処分を不服として甲府検察審査会に審査を申し立て、審査会が19年、点検担当者2人を不起訴不当、他の6人を不起訴相当と議決。地検が2人を再捜査していた。

 事故で次女友梨さん(当時28歳)を亡くした石川信一さん(70)=神奈川県横須賀市=は「なぜトンネルが崩落したか司法の場で解明するしかないと考えていたが、できなかった」と落胆した。

天井板崩落事故のあったトンネル内の現場で献花する遺族たち
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