中国・復旦大学の研究チームにより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した人の中に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体レベルが低い人が少なからず含まれたことが報告されています。論文は査読を経たものではなく「臨床の指針とすべきではない」とのことですが、内容は今後のワクチン開発などに影響を及ぼす可能性があります。

Neutralizing antibody responses to SARS-CoV-2 in a COVID-19 recovered patient cohort and their implications

https://doi.org/10.1101/2020.03.30.20047365

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https://www.scmp.com/news/china/science/article/3078840/coronavirus-low-antibody-levels-raise-questions-about

病気から回復した人の血漿にはウイルスに対する抗体が含まれていて、「スペイン風邪」こと1918年のインフルエンザやエボラ出血熱の際に治療に使用されたことがあります。

これと同じように、新型コロナウイルス感染症から回復した人の血漿には新型コロナウイルスへの抗体が含まれていると考えられ、実際に臨床試験への取り組みが進められています。

しかし、復旦大学の研究チームによると、上海公衆衛生臨床センターから退院した175人の患者の血液サンプルを分析した結果、ほぼ3分の1にあたる患者のサンプルで、抗体のレベルが予想以上に低かったことがわかったとのこと。そのうち10人は、ラボで検出できないほど抗体レベルが低かったそうです。

調査の対象となったのは、すべてが軽度の症状から回復したばかりという人。これは、集中治療室に入っていた患者の多くはすでに抗体が確認されていたためです。調査の結果、抗体レベルは年齢が高いほど上昇し、60歳〜85歳の患者は、15歳〜39歳の患者と比べて抗体量が3倍以上でした。

研究チームは「これらの患者の再感染リスクが高いかどうかは、さらなる研究で調べる必要がある」と述べています。

今回の新型コロナウイルスでは、一度感染症から回復した人が再感染したという報告が出ており、長期にわたって向き合っていくことになるという覚悟が求められそうです。

2020/04/09 Gigazine 
https://gunosy.com/articles/aMHC6