「ネットカフェ難民」の増加や拡散など新たな難問が浮上している。東京都は10日、国の緊急事態宣言を受けて、新型コロナウイルス感染拡大を防止するためにネットカフェの休業要請を公表した。都では住む家がないなどの理由でネットカフェに寝泊まりしながら生活する人は都内で1日あたり約4000人と推計している。行き場を失った大量の「ネットカフェ難民」発生の可能性が危ぶまれている。

都は空室となっている都営住宅など約400室を確保する予定だが、生活困窮者を支援する団体「TENOHASI(てのはし)」の清野賢司さん(58)は「一斉に休業したら部屋は足りない。野宿するしかない」と指摘。入居条件のハードルがあるといい「都内に6カ月以上滞在している証明が必要だが、難しい人もいるし、地方から東京に来て6カ月に満たない人もいる」と話した。

都内に居場所を失った「ネットカフェ難民」が大移動する可能性もある。「神奈川、埼玉、千葉などで営業している店を探して移動することも推測される」と清野氏は難民の拡散を懸念している。拡散した「ネットカフェ難民」で混雑する店が増えれば、換気の悪化などから感染リスクが高まりかねない。

ネットカフェが休業となれば、深夜営業のファミレスなどの飲食店に滞在場所を探すしかないが、営業時間を短縮する店舗も多く、「ネットカフェ難民」は、さらに窮地に追い込まれることになる。 【大上悟】

2020年04月10日 20時39分 日刊スポーツ
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