埼玉県内随一の歓楽街・JR大宮駅東口の南銀座通り(南銀)。10日に県によるナイトクラブなどへの休業要請が決まったが、要請対象から外れた事業者からは「国や県が曖昧で、どうしていいか分からない」と、先行きへの不安と戸惑いが噴出している。

 9日夜に南銀を歩いた。細い通りにひしめく店の半分くらいはシャッターを下ろしていた。開いている店をのぞくと、客はゼロか1組程度がほとんど。北側の駅方向に向かう人の流れは、店に吸い込まれることなく家路を急いでいた。

 古くから営業する小料理屋の店主(52)は「2月はたかをくくっていた。3月の予約キャンセルも片手ほどだったが、売り上げは3割減。昨日(8日)はついに客がゼロになった」と明かす。大手企業に勤める妻はテレワークに切り替えた。「県や国からスパッとした方針が出れば休業の決断ができる。スタッフを感染から守りたい半面、(補償なく休めば)明日のおまんま代も出ないという葛藤がある」という。個人事業主への国の給付金(100万円)については、「出たところで赤字の補?(ほてん)にもならない」とため息をついた。

 さらに南に進むと、キャバクラなど夜の飲食店が増えてくる。明かりがついているスナックを訪れると、従業員は「客ゼロが続いている。休めと言われれば休むけど……」。諦め気味につぶやいた。

 普段は酔客であふれる人気居酒屋の男性店主は「3月下旬から日を追って悪くなった。昨日は計15人だった」。通常は80〜100人で、2割に満たない。「開けても赤字だが、ゼロよりはいい。閉めても家賃や社会保険などの支払いはなくならない」。この男性は、さいたま市や日本政策金融公庫などの緊急融資について「先が分からないから借りるのは怖い」と不安そうだ。

 大宮南銀座商店会の小島敏也会長は「会員は、県や政府が曖昧で困っている。補償がないから、客が1人でもいれば開けざるを得ない。強制力があった方が楽だ」と話す。東京商工リサーチの調査では10日現在、県内でコロナ関連の倒産はないが、小島会長は「1〜2カ月で出てくるのでは」とみる。

 理髪店「アゲイン」の山口真吾さん(43)は「3月に入った頃から徐々に人通りが減り、昨日は3分の1以下だった。客が半分では家賃も払えず、ゴールデンウイークでアウトになる」と危惧する。給付金100万円は申請しようと思っているが、「(支給が廃業に)間に合わない可能性がある」と心配する。【山越峰一郎】

4/11(土) 10:10配信
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