新型コロナウイルス感染症の治療で注目が集まる人工心肺「E(エ)C(ク)MO(モ)」について、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)などは10日、小型で容易に持ち運べ、長期間交換せずに使える機器を開発したと発表した。医療機器としての承認を得るための治験を始めた。

 ECMOは肺や心臓が大きなダメージを受けた時、回復するまで血液をいったん体外に取り出し、酸素を加えて体内に戻す装置。心不全患者や、新型コロナウイルスに感染した重症患者の治療などに使われる。

 会見した国循の福嶌教偉(のりひで)・移植医療部長によると、現在の機器は大型のため使える場所が集中治療室(ICU)などに限られ、患者の容体の急変などの緊急対応には向かないという。救急車の中など、病院の外で使うのも難しかった。また、機器の中で血の塊ができやすいという問題もあるほか、耐久性が低く3日ほどで交換が必要だった。交換するにはいったん機器を止める必要があるが、それには大きなリスクが伴い、人手も必要になる。

 新開発の機器は6・6キロと従来の5分の1ほどの重さで、世界最小・最軽量だという。電源がない場所でも1時間使えるため、救急車の中でも利用できる。また、血の塊ができにくい工夫もされており、動物実験では1カ月連続で使うことができたという。

4/11(土) 6:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200411-00000007-asahi-sctch
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200411-00000007-asahi-000-view.jpg