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2020年4月8日 / 04:08 / 18時間前更新
アングル:行き場失う農産物、新型コロナで世界の食糧流通網寸断
Reuters Staff

[サーターラー(インド)、シンガポール、ロンドン 3日 ロイター] - インド西部、土地の肥沃(ひよく)なサーターラー地域では、農家が家畜にふだんと違う餌を与える光景が見られる。水牛にレタスを与える者もいれば、乳牛にイチゴを与える姿もある。

特別なご馳走というわけではない。家畜に与えるか、さもなければそのまま廃棄するしかないのだ。実際に廃棄している農家もある。トラックに満載された生のブドウを、堆肥の山に投棄して、腐るに任せている。

新型コロナウイルスの拡散を防ぐ目的で行われているロックダウン(都市封鎖)のせいで、農家は収穫物を消費者に届けることができなくなっている。世界の多くの地域と同様、インドでも、人の移動が制限されたことで、農業や食糧サプライチェーンに混乱が生じており、さらに広い範囲で食糧不足や価格高騰が起きるのではないかという懸念が高まっている。

世界中で、何百万人もの労働者が、収穫や作付けのために田畑に出られなくなっている。商品を移動させるトラック運転手も足りない。飛行機も飛ばないため、生鮮食品を運ぶ航空輸送能力も急減した。そして中国からの船便が減少したため、食品出荷に使うコンテナも不足している。

米フロリダでは、メキシコからの移民労働者が不足しているため、スイカ、ブルーベリーの栽培農家では、作物を収穫できないまま腐らせてしまう懸念が生じている。欧州でも同様に、働き手の不足により、野菜農家が作付けのタイミングを逸している。

食糧生産・流通に与える打撃がこれだけ広がっていることは、今回のパンデミックが世界各国の経済を行き詰まらせ、最も必要不可欠な企業向け・消費者向け市場さえも混乱に陥る可能性が際限なく大きいことを示している。今のところ、コメや小麦といった主食用の穀物の供給については混乱は限定的だが、作付けや物流面での問題は増大している。

インドの農家アニル・サルンケさんは、収穫したイチゴを乳牛に与えている。ふだんならイチゴを楽しんでくれる国内観光客の姿はなく、近隣の大都市ムンバイの街路で活躍していた果物売りたちもいなくなってしまったからだ。
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