安倍首相「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」というウソ
4月13日、安倍首相は日本の休業補償の充実ぶり、支援の手厚さが世界で一番であることを述べたそうだ。

本稿では安倍首相はウソをついているという立場で、ウソを「真実でないこと。また、そのことば。いつわり。」(広辞苑第7版)と定義して、チェックをしていくこととする。

安倍総理大臣は、自民党の役員会で、「感染拡大防止のためには人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減する必要がある。
7都府県に強い自粛要請を行うことで、ほかの県への人の流れが生まれるようなことがあってはならず、繁華街の接客を伴う飲食店の利用自粛を要請したところだ。
それぞれの地元でも徹底するよう、議員一人一人の協力をお願いする」と呼びかけました。

また、「さまざまな支援を用意したが、補正予算案の成立を急ぐことで準備を加速させたい。
休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」と強調しました。

出典:自民 役員会 「接触削減 議員は地元で徹底を」安倍首相 4月13日 NHK
正直、これまでに何度も驚かされてきたが、この発言には今までにも増して驚いた。

特にこの「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」という部分である。

労働相談、生活相談の現場にいても、いま時点で全く世界で一番支援が手厚く、補償が充実している実感はないからだ。

読者の方も世界で一番支援が手厚い国に住んでいることを実感しているだろうか。

また政府や厚生労働省から抗議が入るから補足しておくが、彼らが何もしていないというわけではない。

しかし、世界一ではないのではないか。

厚生労働省の推奨する雇用調整助成金など各種制度は、今後も適用範囲を拡大させて利用促進することに賛成であるし、緊急経済対策が今後も功を奏していけば良いと思う。

企業に対して200万円、個人事業主に対して100万円という規模の支給も控えているから、対象を過度に制限せずに大胆に実施してほしい。

ただ、4月14日の現時点で安倍首相が「世界一」だと誇れるような状況であれば、これほどの解雇や倒産はなぜ起こっているのだろうか。

なぜ生活困窮者や明日の生活に不安を抱える労働者がこれほど現場に多いのだろうか。

相談支援現場は相談者が殺到しており、その生活が逼迫(ひっぱく)しているということは何度も伝えてきた。

本当に休業補償をしている国は世界に例がなく、世界一の支援なのだろうか
実際のところ、まず休業補償を行っている国は世界に例がある。それもいくつもある。

そしてすでに実施もされている国さえある。「早期に」「迅速に」という掛け声の国はなかなか政策が実行されない。

以下、NHKの記事がわかりやすくまとまっているので、参照いただきたい。強調部分は太字にしてある。

新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようと外出制限の措置が続くヨーロッパでは、収入が減少するなどの影響を受けている事業者に対し、各国政府が一定の補助金を支給する制度を設けることで協力をとりつけています。

スピード重視 業種も絞らず ドイツ

ドイツでは大企業向けの債務保証などに加え、中小企業や個人事業主に対しても総額500億ユーロ、日本円にしておよそ6兆円の支援策を進めています。

特に重視したのは、スピードです。

毎月の家賃の支払いなどに困らないよう支援の対象は特定の業種に絞らず、ウイルスの感染拡大によって経済状況が悪化したことを条件として、申請手続きを簡素化しました。

先月下旬から申し込みを受け付け、例えば、従業員が5人以下の事業者や個人事業主の場合、最大9000ユーロ、日本円にして100万円余りの補助金を支給しています。

また、州によっては追加で独自の支援を行うところもあります。

ベルリン在住のピアニスト、峯麻衣子さんはベルリン州政府の支援枠を利用して、先月29日、補助金の申請手続きを行いました。

コンサート会場は閉鎖され、次の演奏活動のめどはたっていません。

https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20200414-00173263/
4/14(火) 15:23