「おうち時間」の中でDVが深刻化

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各地で出されている外出自粛要請。
これにより国民の間では必然的に自宅で家族と過ごす時間が多くなっている。
そうした中、すでにDV=ドメスティック・バイオレンスが発生している家庭では、DVがより深刻化しかねないことが目にみえている。

加えて、これまでDVの起きていなかった家庭においても、長期間の外出自粛から生じるストレスに休業要請等の将来不安が相まって、新たにDVが発生する可能性は極めて高くなっている。

国連のグテーレス事務総長は5日、“DVの世界規模での急増に警鐘を鳴らす”とのメッセージを発出した。フランスでは外出禁止の措置が3月に始まって以来、DVが3割以上増えて深刻な問題となっている。
日本では、足下の状況は数字として見えていないが、警視庁関係者は「東京でも警察へのDVや虐待の相談が急増している」と危機感を語った。
こうした中、橋本聖子女性活躍担当大臣は10日の会見で、「深夜休日の電話相談体制の拡充」と「SNSやメールによる相談体制の導入」を発表した。

目指すは24時間体制の電話相談
各地方自治体がテレワークの導入や窓口業務の縮小などに舵を切る中、内閣府と厚労省は3日、地方自治体に対して「DVの相談と保護業務は継続して、迅速に行ってほしい」と念押しした。

その上で、DV被害が増加・深刻化する中でいつでも相談が出来るよう、政府は深夜休日の電話相談体制を拡充することにした。現在は、虐待相談の専用ダイヤルにかけると、
最寄りの相談窓口につながる仕組みとなっていて、多くの自治体が休日の相談も受け付けるが、全自治体ではない。
また、24時間体制の相談窓口を設けている自治体は限られる。そこで、国が直接、相談窓口を増やし、地方の人繰りを支援することにしたのだ。

こうした電話相談体制の強化は月内に完了する見通しで、担当者は「24時間体制の相談を目指し、人員と予算を確保する予定」だと強調する。

外出自粛だと電話相談しにくい
ただ、外出自粛要請が行われている中では、DV被害を受けていても、加害者と同じ屋根の下にいるため、電話による相談が難しいケースもあり得る。
そのため、政府はメールによる相談体制を速やかに設けるほか、LINEのようなSNSで相談を受け付けるシステムを早急に構築したいとしている。

SNSによる相談体制の有用性はすでに証明されている。政府は昨年末、若者向けにSNSを用いた性暴力の被害相談「Cure Time(キュアタイム)」を試験的に実施した(関連記事:https://www.fnn.jp/articles/-/24789)。
この事業は15日間の期間限定で行われたが、中高生を含む若者を中心に250件を超える相談が寄せられ、日常的に使っているSNSによる相談ということで悩みを打ち明けるハードルを低くする効果があったといえよう。
今回も同様のシステムを視野に調整しているという。

現金給付はDV被害者にも届くか
政府は、新型コロナウイルスの感染拡大で所得が減った世帯などに対し、一世帯30万円の現金給付を行うこととしている。しかし、DVの被害に遭いシェルターに避難している人も同一世帯とカウントされてしまうのだろうか。
また、離婚協議中の場合などはどうなるのだろうか。

橋本大臣は10日の会見でこうした懸念への対応を問われ、「離婚協議中であったり、DV被害を受けてシェルターに避難中の方が支給を受け取りにくいのではないかという懸念、
具体的な声にもしっかり配慮しながら、関係省庁とよく連携して取り組んで、不安のないようにしっかり取り組んでいかなければならない」と前向きに対応していく意向を示した。

内閣府関係者によると、DV被害者は、加害者と別世帯としてみなす方向で調整しているという。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200414-00131741-fnnprimev-pol&;p=2
4/14(火) 11:30配信