東京都港区は14日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からJR新橋駅前SL広場、表参道交差点などにある、区管理の全28か所の屋外喫煙所を午前9時頃に閉鎖した。期間は5月6日までを予定している。

 都では今月1日から受動喫煙防止条例が施行されたことから、これまで以上に喫煙所を利用する人が増加。感染拡大要因の「3密」のうち密集、密接が更に起きやすくなった。日本禁煙学会も喫煙所について、マスクをしない人と2メートル以内で平均5〜6分は滞在する「濃厚接触」の状態に匹敵すると指摘している。

 区の担当者は「屋外であっても、限られたスペースに人が集まり、密接する機会が見られた」と説明。区民の要望や、自粛ムードが高まる中で人が集まる状況をかんがみ、決断したという。

 何も知らずにSL広場の喫煙所を訪れ、立ち入り禁止のテープと利用停止を知らせる貼り紙を見た会社員の50代男性は「今日初めて閉鎖されたことを知りました」とあっけにとられた様子。それでも「喫煙所はかなりの人が密集しますから。このご時世では閉鎖は仕方ないのかなと思います」と理解を示し、足早に去った。一方で、我慢しきれずに喫煙所周辺の目立たぬところで煙をくゆらせる人もいた。

 東京23区内では、渋谷区が緊急事態宣言が発出された翌日の8日から、すでにスクランブル交差点を含めた6か所の喫煙所を当面の間、立ち入り禁止に。葛飾区も全て閉鎖したが、半数以上の区では、従来通りとなっている。ただ、今後さらに感染が拡大した場合には閉鎖の意向を示している区も多い。

 目黒区の職員は「条例で吸えない場所を増やした代わりに、喫煙所で吸ってほしいとしているだけに、いきなり閉鎖というのも難しい」。また、別の区では「都から要請があれば(閉鎖に)踏み切ることができるのですが…」と話した。

 ◆喫煙者重症化リスク1・66倍
 喫煙は、新型コロナの感染や重症化との因果関係が強いとする見方は多い。日本禁煙学会は、ホームページで、「生涯非喫煙者に比べて、喫煙者のリスクは重症化が1・66倍、人工呼吸器装着または死亡が3・24倍だった」との中国での研究結果を紹介。受動喫煙を含め、喫煙が肺や免疫力にダメージを与えるとしている。同学会の作田学理事長は「国民は協力して、まん延を抑えていかなければならない」と危機感をのぞかせた。

4/15(水) 6:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200415-04150000-sph-soci
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200415-04150000-sph-000-view.jpg