高アルコール酒続々 消毒液代替で若鶴酒造など
北日本新聞社 2020.04.16 00:06
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消毒液の代替品としてボトル詰めされる「砺波野スピリット77」=若鶴酒造

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、消毒液の代わりとなるアルコール度数の高い酒を製造する動きが全国の酒造会社で広がっている。ただ、危険物扱いのため1日に生産できる量が制限される上、法的には「飲用」とみなされて高額な酒税がかかるなど、量産には課題も多い。メーカーからは「消毒液の不足が解消されるまで一時的に規制を緩和できないものか」との声が上がる。

 若鶴酒造(砺波市三郎丸)は13日、日本酒に加える醸造アルコールを加工して度数を77%にした「砺波野スピリット77」の販売を始めた。消毒液が不足する医療機関に優先的に供給している。

 原料は十分にあるものの、1週間に出荷できる量は300ミリリットル入りボトルで約千本に限られる。度数70%以上のアルコールは消防法上の危険物に該当し、特別な設備がない場合は1日の取扱量を80リットル未満に抑えなければならないからだ。

 全国から注文が殺到しており、稲垣貴彦取締役は「もっと生産したいが、新たな設備を導入することは難しい。一時的に規制を緩和してほしい」と訴える。法律上は飲用に分類されるために、1本(880円)当たり231円かかる酒税の減免も求める。

 同酒造は電話対応で業務に支障が出る恐れがあるとして、問い合わせや注文はメール、ファクスにするよう協力を求めている。

 消毒に使えるアルコール製品の需要が高まっていることを受け、総務省消防庁は「増産を妨げるべきではない」と判断。火災予防に十分留意した上で、規制の弾力的な運用を認める通知を出した。「消防署と相談しながら増産の体制を整えてほしい」(危険物保安室)としている。

 一方、酒税については通常のアルコール消毒液も同額の加算金が価格に上乗せされていることから、財務省は「度数が高い酒だけを免税することは難しい」(税制第二課)としている。

 アルコールによる消毒を巡っては厚生労働省が先月、消毒液を確保できない場合に限り、医療機関などがアルコール度数70〜83%の酒を使うこと認める通知を出した。今月10日には、そうした酒に「手指消毒に使用可能」と表記できるようになった。


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