新型コロナウイルスの感染拡大により、品薄状態となっているマスク。店頭からはその姿が消え、政府は高額転売の規制にも乗り出した。ただ、依然として品薄状態は続いており、店頭に並ぶマスクが、一般的な感覚よりも高値となるケースもある。政府は1世帯あたり2枚の布マスクを配布するが、店頭で入手困難な状況は今後も続きそうだ。

 ただ、規制の対象は不特定多数が購入可能なマスクを転売する行為。小売業者がメーカーや卸売業者から仕入れたマスクについては、価格設定は各業者の判断となる。

 需要の急速な高まりから原料価格や仕入れ値が上がり、商品が適正な価格で売られるはずの店頭や通販サイトでもこれまでの感覚を上回る値段になることが多い。

 それでも50枚入りのマスクを3980円で販売したスーパーでは、計2千箱が数日でほぼ完売。客からは抗議の声があった半面、「売ってくれてありがとう」との声も寄せられたという。

適正な価格実現を

 現在、マスクは需要が供給を大幅に上回っている。安倍晋三首相は、4月には月7億枚を超える供給を確保する見込みだとしているが、全国民が1日に1枚使用すると仮定すれば1週間で9億枚が必要になる。全国マスク工業会の担当者は「到底需要に追い付く見込みはない」としており、あるドラッグストアの担当者は「今は商品を確保すること自体が難しい。値段が落ち着く時期は全く見通せない」とこぼす。

 近畿大の佐々木俊一郎教授(行動経済学)は「需要が高まれば値段が上がるのは自然で、平時であればいくらで売っても自由だ」とした上で、「今は社会全体で新型コロナに対処すべきであり、国が生産や流通を管理し、適正な価格で必要な人にマスクが行き届く態勢が必要だ」と話している。

仕入れ高騰の値上げ、4割が「受け入れられない」

 仕入れ値が高騰した場合、マスクの値上げは仕方ないのか−。関西大ソシオネットワーク戦略研究機構が消費者約3600人を対象に調査したところ、全体の4割が「受け入れられない」と回答した。関西大が16日、発表した。

 同機構の本西泰三教授らがインターネット上で調査。仕入れ値が上昇した場合のマスクの値上げについて「受け入れられない」が40・6%、「受け入れられる」が59・4%となった。

 回答が割れる結果となったが、同機構は「やむを得ず値上げする場合は、根拠を十分周知できれば一定の理解につながる」としている。

 一方、仕入れ値に変化がない“便乗値上げ”は80・4%が「受け入れられない」とした。

産経WEST 2020.4.16 18:11
https://www.sankei.com/west/news/200416/wst2004160021-n1.html
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