新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、江戸時代の妖怪「アマビエ」がネット上で話題になっている。「疫病がはやったら、『アマビエ』を写して人に見せなさい、そうすると逃れることができる」という言い伝えである。

そんなアマビエを南部鉄器で作った職人が現れた。

https://pbs.twimg.com/media/EVh3ryDUMAEmfhx?format=jpg&;name=small
https://pbs.twimg.com/media/EVh3ryCU8AAVtBK?format=jpg&;name=small

写真は、試作中の「アマビエ」だ。いったいどんなものだろう?

Jタウンネット編集部は、疫病退散を願って、岩手からアマビエを作り始めた「南部鉄器工房及富」の菊地海人さん(@kaito_kiku327)に取材した。

お湯に入れて鉄分補給できる

試作中の「アマビエ」。 菊地海人@南部鉄器工房及富(@kaito_kiku327)さんのツイートより
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南部鉄器職人の菊地海人さんは、なぜ「アマビエ」をつくろうと思ったのだろう。

「新型コロナウイルスの影響で、外国人観光客のいちばんのお土産として支持されている鉄瓶の注文が、2月より止まっているのがまず背景にあります。

連日の報道の中で、自分たちが貢献できることとして、3月上旬の休校措置の際に、学生に向けたオンライン工場見学を始め、YouTubeでも配信を始めました。 そのころ、ツイッターでアマビエの情報が拡散され始めたのを見たのをきっかけに、製品化の着想を得ました」

「これで鉄玉をつくったら面白いのでは、と考えました。 試作品をつくり、ブラッシュアップしました」と菊地さん。

鉄玉とは、卵型をした南部鉄。お湯を沸かすときなどに入れると、鉄分を補うことができるという。すでにオンラインショップで先行販売を受け付けていて、価格は1800円(税込、送料無料)。

すでにかなりの引き合いがあるのか、販売ページには、

「全国からたくさんのお問い合わせをいただいており、ありがとうございます。現在5月中旬の発送を予定しております」

とも書かれていた。

試作中の「アマビエ」。 菊地海人@南部鉄器工房及富(@kaito_kiku327)さんのツイートより
https://j-town.net/images/2020/town/town20200415193640.jpg

制作にあたっては、販売時の配送方法にも注意したという。 外出自粛が余儀なくされている中、アマビエを買うために外出を促すのは本末転倒だ。郵送でポストへの投函が可能なサイズの中に収めることに注意したのだという。

「デザインは、民芸品の雰囲気を残しつつ、可愛くつくるようにしました」と、菊地さんは満足気だ。

南部鉄器の長い歴史の中で、過去にこのようなものをつくったことがあるのだろうか?

「南部鉄器には仏具や狛犬などを作っていた歴史もあり、さまざまな造形物がございます。そのため、抵抗はありませんでした」

南部鉄玉 アマビエ 菊地海人@南部鉄器工房及富(@kaito_kiku327)さんのツイートより
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「お湯を沸かすがごとく、世界の人たちを沸かす、のをモットーに頑張っております(南部鉄器だけに......)。 南部鉄器にもっと親しみをもってもらいたいですね」と菊地さん。

アマビエを通して、菊地さんの熱いハート、チャレンジ精神は伝わってくる。

ツイッターに寄せられた反響で、とくに印象に残ったことは何だろう。

「全国の方から労いの言葉をいただいており、少しでも日本の大切な産業を応援したいので購入させて頂いたというメッセージが添えられており、大変嬉しく思っております」

https://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/304077.html