新型コロナウイルスの感染拡大が、外食・小売りチェーンに深刻な影響を及ぼしている。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「頼みの綱はデリバリーとテイクアウトだが、それだけではやがて限界が来る」という――。

■サイゼリヤの3月既存店売上高は21.5%減

 新型コロナウイルスの感染拡大が、外食・小売りチェーンに深刻な影響を及ぼしている。ファミリーレストラン大手のサイゼリヤは、3月の既存店売上高が前年同月比21.5%減だったと発表した。三越伊勢丹ホールディングス(HD)では、3月の国内百貨店の既存店売上高(速報値)が35.1%減となっている。どちらも異常なマイナス幅だ。こういった厳しい状況が次々と報告されている。

 外食は業種によって多少の濃淡があるものの、総じて厳しい。感染拡大を受けて政府や地方自治体が外出自粛を要請してから、外食を控える人が続出したためだ。

 特に厳しい業種のひとつが居酒屋だ。串カツ田中HDは3月の既存店売上高が22.6%減、鳥貴族が16.1%減と大きく落ち込んだ。感染拡大を防ぐため、串カツ田中HD、鳥貴族、そして「塚田農場」を運営するエー・ピーカンパニーは、いずれも4月上旬から直営店を臨時休業している。

■「酒類提供は夜7時、営業は8時まで」

 もっとも、休業はこの期間だけで済まない可能性がある。4月7日に政府が東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令したことを受け、東京都では居酒屋を含む飲食店に対し「酒類提供は夜7時まで、営業は夜8時まで」と要請している(4月11日時点)。東京の店舗に関しては、長期にわたって休業になることを想定する必要があるだろう。実際、鳥貴族では当初4月8〜12日としていた休業期間を、5月6日まで延長した。

 休業が長期化すれば大手でも厳しい。営業しなくても店舗の家賃は発生する。人件費も、中長期的な雇用確保の観点からの拠出や休業手当の支払いなどで、一定程度が発生する。こうした固定的な費用の負担が重くのしかかる。

■頼みの綱は「デリバリー」「テイクアウト」

 営業する店舗に関しては集客策を講じることが必要だ。有力となるのがデリバリーとテイクアウトの強化だろう。牛丼チェーン「吉野家」は4月1日から期間限定でテイクアウトの牛丼などを本体価格から15%割り引いて販売している。串カツ田中も3月下旬からテイクアウト強化のキャンペーンを始め、串カツを割引販売したり弁当を販売したりしている(休業店舗では実施していない)。回転ずしチェーン「はま寿司」では、3月20日から期間限定でテイクアウト用に500円の「ワンコイン丼」を販売している。

 宅配ピザ大手のドミノ・ピザジャパンは、接触による感染拡大を防ぐために配達員や店員による直接の手渡しを避ける取り組みを始めて安全性をアピールしている。また、デリバリー需要が増加していることなどから4〜6月を人材の採用強化期間とし、正社員とアルバイト計5200人を採用する考えだ。

 ガストやジョナサンなどを運営するファミレス大手のすかいらーくHDは、デリバリーとテイクアウトの強化が功を奏している。3月の既存店売上高は23.9%減と大幅マイナスだったが、両サービスに対する販促を強化したり注文サイトの改善を図ったりした結果、3月のテイクアウト売上高は大きく伸び、デリバリー売上高は前年を上回った。

全文はソース元で
4/17(金) 9:15配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200417-00034546-president-bus_all
https://amd.c.yimg.jp/im_sigg01Lbh.pveKcVuL8Y46N.qg---x400-y137-q90-exp3h-pril/amd/20200417-00034546-president-000-1-view.jpg