艦内で新型コロナウイルス感染者が続出したと報じられているアメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルトで、検査により新型コロナウイルスに感染していると診断された乗組員の半数以上が新型コロナウイルス感染症の症状を呈していないことが判明しました。

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原子力空母セオドア・ルーズベルトでは、2020年3月31日の時点で100人を超える新型コロナウイルスの感染者が発生してしまい、危機感を訴えたブレット・クロージャー艦長が解任される事態も起きています。

空母で新型コロナウイルス感染者が発生していると上層部に助けを求めた艦長が解任される - GIGAZINE

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その後の検査により、さらに多くの乗組員が新型コロナウイルスに感染したことが判明しており、乗組員4800人のうち約94%の検査が終了した2020年4月17日時点での感染者数は600人を超えているとのこと。また、4月13日には空母セオドア・ルーズベルトで航空兵器長を務めていた41歳の乗組員が新型コロナウイルスで命を落としているほか、4月16日の時点で6人の乗組員が入院を余儀なくされています。

一方、アメリカ海軍のフィリップ・ソーヤー海軍中将の発表によると検査で陽性と判定された600人以上の乗組員のうち、60%が新型コロナウイルス感染症の症状を呈していないとのこと。これはあくまで4月17日時点の状況であるため今後症状がでないとも限りませんが、「無症状者が60%」という数値は、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)による「無症状者は25%程度」という推定値の倍以上と非常に高い値です。

この結果について、アメリカの軍部は当惑した反応を見せています。テレビ番組のインタビューで、無症状者が多い件について尋ねられたマーク・エスパー国防長官は、「困惑しています」と回答。

また、アメリカ海軍で軍医総監を務めるブルース・ギリンガム海軍少将は「この無症候性感染というステルス性能が、新型コロナウイルスという敵の秘密兵器であることが分かってきています」とコメントしています。

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一方、この件について報じているロイター通信は「空母セオドア・ルーズベルトは、ほとんど若者しかいない閉鎖された環境で、新型コロナウイルスが無症状のまま拡散しているという研究者向けの事例を提供しています」と述べて、感染者の多くが無症状なのは若者が多いためだという可能性を示唆しました。

また、ヴァンダービルト大学医療センターの感染症の予防医学教授であるウィリアム・シャフナー氏は「新型コロナウイルスで症状が出ない人の割合は正確には分かっていないので、非常に興味深い事例です」と話しています。

2020年04月17日 23時00分
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