LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2020年1〜3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比15.4%減の105億9600万ユーロ(約1兆2503億円)だった
。同社は売上高が同10〜20%減となる見通しを3月下旬に発表しており、ほぼ予想通りの結果となった。

部門別の売上高では、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」
「フェンディ(FENDI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのブランドを抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同9.1%減の46億4300万ユーロ(約5478億円)、
香水&コスメティクス部門は同18.0%減の13億8200万ユーロ(約1630億円)、ワイン&スピリッツ部門は同12.9%減の11億7500万ユーロ(約1386億円)、ウオッチ&ジュエリー部門は同24.2%減の7億9200万ユーロ(約934億円)だった。

地域別では、既存事業での売上高は日本を除くアジア地域が同32%減、日本は同10%減、欧州も同10%減、米国は同8%減と、新型コロナウイルスが世界中に広まっていることを反映して軒並み減収となった。

しかし、明るい兆しも見えている。ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者(CFO)は、
「中国本土では3月後半から店舗の営業を徐々に再開しており、『ルイ・ヴィトン』『ディオール』『セフォラ』などで売り上げが大幅に回復してきている。
特に『ルイ・ヴィトン』は同50%増と力強い伸びを見せており、2カ月に及んだ都市封鎖の間は思うように買い物ができなかった中国人顧客の旺盛な消費意欲が感じられる」と語った。
なお関係者によれば、「ルイ・ヴィトン」はLVMHの売り上げ全体のおよそ4分の1を占めているという

一方でギヨニーCFOは、「台湾や韓国市場でも回復の兆しが見られるが、欧州や米国では危機的な状況が続いているため先行きが読めない。
5月か6月ごろから事態が少しずつ沈静化することを願っているものの、第2四半期の売り上げに大きな影響が出ることは避けられないだろう」とした。

ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者は、「世界が危機的な状況にある中、一丸となって尽力している従業員の皆さんや傘下ブランドの確固たる強さのおかげで、LVMHはしっかりと持ちこたえられている。
事態が収束した際には、さらに強力な存在として前進できるだろう」と述べた。なお同氏をはじめとする経営陣は、4月と5月の基本報酬のほか、20年の変動報酬(業績に連動した報酬)を返上する。

売り上げが激減する中で財務状態の健全化を図るため、同社は20年の設備投資を40%削減するほか、事業費の引き締めも行う。ギヨニーCFOは、「店舗の賃料についても交渉している。
中国本土の家主は休業した店舗の賃料の一部負担に同意してくれるなど非常に協力的だが、欧米では交渉が難航しているケースもあり、やや失望している。
こうしたことが将来的な予算配分に影響することは言うまでもない」と話した。
同社はホスピタリティー関連事業にも力を入れており、4月に改装オープンを予定していたホテルもあったが、間接費の削減のためこれを来年に延期した。



https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200417-01071254-wwdjapan-bus_all
4/17(金) 17:50配信