新型コロナウイルス感染拡大をこれ以上の規模にさせないため、7都府県に対してだった非常事態宣言が全国へと拡大された。東京都が業態や施設を指定して休業要請をし、営業時間短縮などを求めていたが、さらに全国に広がりそうだ。仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏が、今回は、短縮営業要請されたことでかえって忙しくなったというある40代の居酒屋店主の本音をレポートする。

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「休業なんかしないよ、これだけお客さんいるんだから」

外出自粛令、非常事態宣言、そして休業要請にまで至った東京最初の週末10日、金曜日。コロナ騒動なんのその、都心部の新宿や池袋、新橋などの大繁華街はともかく、少し外れた城東の小さな歓楽街はスナックも居酒屋もチェーン系以外は営業している。むしろスナックはランチに、居酒屋は昼呑みにと必死だ。

私は意を決してひときわ目についた居酒屋を訪ねる。ここは外でも呑めるように簡易なプラスチックテーブルと椅子が用意されていて、一番おおっぴらにやっている。三密どころじゃない環境で賑わっているが、心臓に持病のある私からするととんでもなく怖い。

「いらっしゃい」

店主は手際よく焼き鳥を返しながらカウンター越しに声を張る。客席は常連さんでいっぱい、みんなほろ酔いで楽しそうだ。

「この辺りは夜とか昼とか関係ないんだ。そもそも昼酒なんか普通だし、時短要請とか関係ないね」

店主はよっちゃん(40代男性・仮名)。居酒屋は10人も入れるといっぱいで、外にも一部があふれている。地べたにしゃがんで呑んでいるカップルがいたり、外のテーブルでもノートパソコンを広げた若者がソースコードらしきものを組んでいる。これもテレワークか。

「常連さんが毎日来てくれるから閉められないね、そんで開けてたら自宅待機だ外出自粛だで行き場所のない連中までうちの客になっちゃった。商売繁盛でコロナさまさまだよ」

よっちゃんは大柄で、彫の深い顔は貫禄十分。私が年齢を告げると同じく40代で私と歳は変わらないそうだが、声も大きく数々の修羅場をくぐり抜けた鬼軍曹のようだ。しかしその押し出しの強い見た目とは裏腹にとても親しまれている。常連客の中には頑固親父に怒られに来たかのようによっちゃんに相談したり、意見を求めたりする人もいるという。

「居場所ないのばっかりだよ、東京に出てくるとみんな孤独なんだ。会社の同僚なんて所詮仕事の付き合いだからね、ここが一番だ。そうだろ?」

よっちゃんの言葉に賛同の声が上がる。大事なことだから改めて書くが、ここは都心から外れているとはいえ非常事態宣言が発令され、外出自粛と営業自粛が要請された東京だ。

「休んだって店潰れるだけでしょ、潰れるくらいなら店を開けるよ。非難するバカの誰が責任とってくれるんだ?」

べらんめえ口調で吐き捨てるよっちゃん。彼の友人の中にもやむなく店を廃業した人もいるそうだ。

「閉店残念です!お疲れ様でした!思い出の店です!なんて言葉で腹が膨れるかっての。だったらもっと店行って金落とせって。俺たちみたいな小さな呑み屋なんか誰も助けてくれない。それがわかってるから、好きなようにやらせてもらうまでさ。見ず知らずの不謹慎バカよりこうして来てくれる客が大事、みんな納得ずくなのにうるせえよ」

よくあるネットのコメントを揶揄しているのだろう。この毒舌で癖のあるキャラクターがよっちゃんの人気に繋がっているようだ。舌鋒は止まらない。

「だいたい自粛自粛ってさ、埼京線乗ってみなよ、京浜東北線も南北線も、朝は凄いラッシュじゃないか。全然自粛してないじゃん。自分らは会社に行くけど呑み屋は休めってか」

カウンターからも愚痴の声が上がる、お客も夜勤明けの警備員や介護士、リモートワークなのになぜか午後の会議だけ出社させられているサラリーマンなど。正直、この呑み屋ヤバい大丈夫かよと思っていたが、話を聞いていると日本大丈夫かよと思わされてしまう。確かにリモートワークが可能なのは、企業や官公庁の事務方の一部、それも在宅勤務で完全に引き込もれるような職種に限られる。理想論とは遠い話、いまだ仕事の基本は生身の人間の直接的サービスなのだ。

全文はソース元で
4/18(土) 16:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200418-00000016-pseven-soci
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200418-00000016-pseven-000-view.jpg

★1 2020/04/18(土) 16:37:22.83
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