カナダ東部ノヴァスコシア州で18日夜から19日にかけて、警察官の格好をした男が複数の場所で銃を発砲し、女性警察官を含む少なくとも13人が死亡した。

警察に最初に通報があったのは18日深夜。12時間に及ぶ銃撃事件はカーチェイスへと発展し、容疑者の男は死亡した。

警察は、容疑者の死因について詳細は明かしていない。

18日に銃撃が始まると、警察は同州の農村地帯にあるポータピークの住民に、外出しないよう指示した。

警察官の制服を着用?

ノヴァスコシア州警察のツイッターによると、銃撃の実行犯はゲイブリエル・ワートマン容疑者(51)。

男は王立カナダ騎馬警察(RCMP)勤務ではなかったものの、「RCMPの制服を着ていた可能性がある」という。

警察によると、容疑者はパトカーに見える車を運転していたという。

警察は19日、「容疑者の車両とRCMPの車両には1つ違いがある。車両ナンバー(登録ナンバープレート)だ。容疑者の車両ナンバーは28B11。後部座席の窓の後ろに書いてある。28B11の車両を見かけたら、直ちに911に通報してほしい」とツイートした。また、容疑者はその後「小さなシルバーのシヴォレーSUV」に乗り換えていたと付け加えた。

容疑者は州内の複数の場所で人々に発砲しており、警察は19日、最終的な死者数は確認中だとした。犠牲者の数は増える可能性があるという。

女性警察官が犠牲に

RCMPに23年間勤めたハイディ・スティーヴンソン巡査も犠牲になった。

ノヴァスコシア州RCMPの司令官、リー・バーガーマン警視正は、「ハイディは要請を受け、人々を守ろうとして命を落とした」と フェイスブックに投稿 した。

「子供2人が母親を失い、1人の男性が妻を失った。両親は娘を失い、数え切れないほどの人々が素晴らしい友人、そして同僚を失った」

カナダのCBCニュースによると、RCMPのブレンダ・ラキ長官は、銃撃犯には犯行開始当初、もともとの「動機」があったが、それが「無差別な犯行へと変わった」と見ている。

カナダのジャスティン・トルドー首相は銃撃について、「恐ろしい状況」だと述べた。ノヴァスコシア州のスティーヴン・マクニール首相は記者団に対し、「ノヴァスコシア州史上、最も無意味な暴力行為の1つ」だとした。

カナダは隣国アメリカに比べて銃器所持が法律で厳しく制限されており、大規模な銃撃事件は比較的めずらしい。

2019年には、ブリティッシュコロンビア州北部で、旅行中だったオーストラリア人とアメリカ人のカップルを含む3人を殺害したと、若者2人が自供した。

1989年にケベック州の大学で起きた銃撃事件では女性14人が死亡した。銃撃犯は男性全員を教室から解放した後、銃撃を開始した。

2020年 4月 20日
https://www.bbc.com/japanese/52349828