科学的根拠よりネトウヨ占い師の助言

 ――政府の取り組みを厳しく批判しています。

 英語に「too little, too late」という表現がありますが、すべてが後手後手。初動が遅すぎました。
なぜ緊急事態宣言に至ったのか。3つの不作為のツケですよ。
PCR検査を徹底しない不作為、医療機関でトリアージ(治療優先度の決定)を実施しない不作為、
経済対策をキチンと打たない不作為。この3つを実行せず、宣言を出すのはおかしい。

 ――世論調査では宣言に7割が賛成しています。

 宣言を出したところで、PCR検査を全然やらずにどうやって実態をつかむのか。クラスター対策に拘泥していたのが大失敗なんです。
屋形船の関係者らを検査してクラスターを潰したとアピールしていますが、裏を返せば屋形船周辺しか検査しない。
それで市中感染が広がり、検査不徹底で状況を把握できず、ほったらかし。検査増は医療崩壊を招くとも主張していますが、有用性は海外の事例で明らか。
消極的だったイタリアで医療崩壊が起き、徹底したドイツは死者を抑え込んでいる。
米国でパンデミックが起きたのは、CDC(米疾病対策センター)のミスで検査を積み上げられなかったからです。
国内で感染が急増した途端にロックダウンだの、オーバーシュートだの、言葉を弄して国民を脅しているようにしか見えません。
完全に大衆洗脳。ナチスのプロパガンダと同じ嘘八百を並べ立てているんです。

――パンデミック化した新型インフルは日本でも猛威を振るいました。

 11年前はみんな死ぬぞぐらいの大騒ぎで、成田空港などで乗客全員の機内検疫を実施したほどでした。
経過を振り返ると、4月24日に北米でおかしなインフルが流行していると情報が入り、
WHO(世界保健機関)が世界的流行の警戒水準をフェーズ4に引き上げたのを受け、28日に対策本部を設置し、専門家会議も立ち上げた。
中国との関係で言えば、08年前後に毒入りギョーザ事件が発生し、感染症や食の安全を担う厚労官僚を初めて在北京の日本大使館に外交官として派遣しました。
それ以来、厚労官僚が中国に駐在しているはずで、彼らが震源地の武漢の状況を把握し、東京に情報を上げていれば迅速に対応できたのではないか。
厚労相や官邸が情報を無視したのか。

 ――海外で高評価のドライブスルー方式にも及び腰です。

 安倍政権の対策は疫学的根拠も科学的根拠もない。休校は専門家会議の意見によらず、安倍首相の政治判断。確かに、専門家会議は質が悪いと思います。
新型インフル対応の際、東大の教え子だった医師たちのネットワークを使っていわゆるチームBをつくり、
彼らの情報をもとに専門家や厚労官僚に対する疑問を潰していきました。

ところが、安倍首相は専門家の話すら聞かず、古代中国の占い師に頼っているようなもの。
占い師が誰かといえば、ネトウヨです。懇意の作家らと会食して力づけてもらっているでしょう。話になりません。

 ――466億円も費やすアベノマスク配布よりも、給付対象の拡大やマスク増産に回してほしいとの声もあります。

 極度のマスク不足にしたって、その気になれば台湾や韓国のような事実上の配給制が取れる。
経産省が号令をかけて企業に生産を促し、消費者庁とも組んで流通網を整理する。
マイナンバーを利用して、末尾0の人は10日など0が付く日を購入日に割り当て、購入実績はスマホなどで管理すればいい。行列をつくる人が10分の1に減り、感染抑止につながります。
要するに、安倍首相は危機のリーダーではないんです。
危機管理はスピードがないとダメ。敵に攻め落とされ、全滅してから何をやっても無意味です。