全国各地で盛り上がりを見せていたクラフトビールの飲食店には、緊急事態宣言に伴う休業で、ビールの「食品ロス」問題に直面している店があります。賞味期限が短いクラフトビールを蒸留酒のジンに替えて救おうという取り組みが始まりました。

地域の特色を生かしたクラフトビール=地ビールは、飲食店で出される場合、賞味期限が大手の生ビールに比べて短く、1か月程度しか味わいが保てないものもあります。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今月上旬から休業している東京・秋葉原のバーです。全国のクラフトビールを売りにしてきたこのバーでは、都内の系列店5店舗で47種類、合わせて1500リットルのビールの賞味期限が迫っていました。廃棄した場合、損失はおよそ200万円になり、店は危機感を強めていました。

クラフトビアバルIBREWの代表、島田将吾さんは「売り上げがない厳しい状況が続いている。50たるほどのすべてが在庫になり、生産者が大事につくったビールを提供できない心苦しさがある」と話していました。

こうした中、茨城県の老舗の酒造会社が、苦境を救おうと動き始めました。クラフトビールを、賞味期限が長い蒸留酒のジンに造り替えるという取り組みです。

今月17日、この会社の東京都内の蒸留所に秋葉原のバーからクラフトビールのたるが持ち込まれ、タンクに移し替える作業が行われました。ビールは熱せられて蒸気になり、冷やすことを繰り返してアルコール度数を高めます。

さらにジュニパーベリーと呼ばれる木の実の風味を加えることでジンになり、元のバーに戻されるということです。これまでに、東京や大阪、愛知など全国の飲食店20社ほどから依頼が来ています。

木内酒造の谷幸治さんは「ビールが賞味期限切れになると、お店は経営的にもダメージで、食品ロスにもなるので、なんとか救済したい。今の状況が元どおりになって乾杯ができたらいいなと思う」と話していました。

2020年4月20日 15時52分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200420/k10012396381000.html
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