増え続ける新型コロナウイルス感染者を把握するため、大阪府はPCR検査の実施態勢を見直した。1人あたりの検体数を減らして作業を効率化。新たな陽性者を確認する検査は3月末まで1日最大約250人分だったが、4月中旬に倍以上の600人近くまで増えた。一方、現場からは「余裕がない」という悲痛な声も上がっており、人員拡充や負担軽減が課題となる。

 府内では9日に92人の感染が確認され、7日後の16日には累計感染者が千人を超えた。検査数に占める陽性者の割合(陽性率)も9日以降、おおむね15〜27%の高水準で推移している。

 府内の検査の8〜9割は大阪健康安全基盤研究所(大安研、大阪市)と堺市衛生研究所で担い、残りを民間の医療機関が行う。

 新規陽性者を確認する検査の数は3月31日に254人分だったが、4月4日に300人を、10日に400人を超えた。15日は494人で、18日には最多の580人に上った。

 急増の要因として挙げられるのが、医療機関で痰(たん)と鼻粘膜の2検体を採取していた方法を10日から1検体に減らしたことだ。吉村洋文知事は同日、感染者数の増加に備え「必要な人に行き届くようにシフトチェンジする」と表明していた。

 陽性確認とは別に、入院中の感染者が退院するための陰性検査の一部は民間の医療機関が代行。大安研は、1回で40検体を検査できる機器計6台を昼夜フル回転させ、陽性確認に集中する態勢に移りつつある。

 ただ検体採取を含め、一連の作業には人手も時間もかかる上、早期の人員補充は難しいため「現場に余裕はない」と府の担当者。


 吉村氏は20日、記者団に「感染拡大を防ぐ意味で検査数は増やすべきだと思うが、今の態勢だけでは厳しい。検査をしっかりできる仕組みを検討している」と話した。

2020.4.20 20:50
https://www.sankei.com/west/news/200420/wst2004200033-n1.html
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