最近、「新型コロナウイルスは銅の上で数時間以内に死ぬ」という結果が研究者たちによって発表されました。

これは、ガラスやステンレスの上では数日間生存することと比べると、銅が非常に強い抗菌作用を持っていることの証明となっています。

しかし、20年以上銅の抗菌効果を研究してきた英国サウサンプトン大学の微生物学者ビル・キービル教授は、むしろ「銅の上で数時間も生存できた」ことに驚いたといいます。

最近注目の集まる銅の抗菌効果について、海外メディア「Smithsonian Magazine」がまとめています。

銅はウイルスを数分〜数時間で死滅させる

銅の殺菌作用は古代から知られており、例えば紀元前1600年の中国では、心臓や胃の痛み、膀胱の病気の治療薬として銅貨が使用されていました。

また、感染症を防ぐために、青銅の剣の削りカスを傷口に入れるという治療も存在していたようです。

更に、何千年も前から女性たちは、銅の器で水を飲むなら子供たちが下痢をしないことを知っており、その知識を後世に伝えてきました。

銅の良い点は、抗菌作用の持続性にあります。

キービル氏の研究チームは、100年以上前に設置された古い銅の手すりを調べました。そして、その手すりには、未だ抗菌効果が残っていることを発見したのです。

このように、銅の抗菌効果は現代の科学者にも認められており、環境保護庁は約400の銅の表面を抗菌材として登録しているほどです。

実際にキービル氏の研究では、中東呼吸器症候群(MARS)や豚インフルエンザ(H1N1)が銅と接触した後、数分以内に死滅するのを確認しています。

さらに、2015年には、新型コロナウイルスとは別タイプの「コロナウイルス229E」も、銅によって数分以内に死滅することが確認されています。

ですから、キービル氏にとって、新型コロナウイルスが「数時間以内に死ぬ」という報告は、むしろ「長すぎる」とさえ感じるものだったのです。

銅がウイルスに効く理由

基本的に金や銀、銅、水銀、鉛、亜鉛などの重金属は抗菌作用をもっています。

しかし、それら重金属には高い毒性を持つものが含まれており、人が抗菌材として活用できるものは限られてきます。

ですから、私たちの周囲では安全な金や銀、銅などが抗菌材として活用されています。

そして、銅には金や銀と比べて、非常に高い抗菌作用があると判明しています。

銅がウイルスに効果的な理由は、その特殊な原子構造にあります。

銅原子は最外殻電子が1つだけであり、この電子は放出されやすい状態にあります。

加えて、銅は別の方法によってもウイルスを死滅させることが可能です。

ウイルスが銅の上に付着すると、銅イオンはウイルスから電子を奪おうとします。

その結果、ウイルスのコーティングは破壊され穴が開きます。

そして、この作用が働くとき、同時にフリーラジカル(電子が足りない不安定な原子・分子)が生み出されます。

フリーラジカルは他から電子を奪おうとするので、殺菌効果を加速させます。

さらに、銅イオンは露出したウイルスの内部にも入り込み、核であるDNAやRNAを探して破壊します。

ウイルスは、薬の耐性を持ったものへと突然変異することがありますが、銅イオンはDNAやRNAを破壊するので、その可能性を無くしてくれるのです。

そして、この特性は、銅が変色したとしても衰えることはありません。

このような特別な効果によって、銅は、多くのウイルスを数分以内に、そして新型コロナウイルスを数時間以内に死滅させることができます。

しかもその効果は長期に渡って続きます。

新型コロナウイルスが流行している現在では、銅を使用した繊維シートも開発されており、銅単独よりも1000倍の抗菌効果があると確認されています。

また、病院のベッドやテーブルなどの表面に銅を加えることで、感染症を防ぐ効果も認められています。

今後、銅を使用した抗菌製品が感染防止の切り札となるかもしれません。

全文はソースで
https://nazology.net/archives/57337