0001スナフキン ★
2020/04/20(月) 23:56:12.59ID:yvH9INwp9https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/04/33647671e4a0b7bd5fe76d605fc70dbe.gif
ファージウイルスのように狙った細菌だけに取りつき、杭を打ち込んで物理的に相手を破壊できる。そんな夢のような抗生物質の作成がはじまりました。
この抗生物質は、緑膿菌がライバルの細菌を殺すために分泌する、ある「奇妙な物体」を参考にして開発されたものです。
この「奇妙な物体」はファージウイルスの頭部を切り落としたような構造をしており、ライバルの細菌の表面に取りついて、内部に仕込んでいた杭を射出して破壊します。
今回アメリカ、カリフォルニア大学の研究者たちが目をつけたのが、この「首無しファージ」の標的認識機能です。
標的認識を書き換えられれば、人間の害になる薬剤耐性菌などをピンポイントで攻撃できるからです。
あらゆる抗生物質に耐性を示す超耐性菌(スーパーバグ)であっても、生物である以上物理的に穴をあけられたら生きてはいられません。
では、この首無しファージのような奇妙な物体の正体はいったい何なのでしょうか?
首無しファージ(バクテリオシン)は大事なものをもっていない
画像:ファージには遺伝子がつまった頭部があるが、バクテリオシンは自分の遺伝子をもっていない/Credit:wikipedia.CNSI at UCLA.youtube
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この奇妙な「首なしファージ」の正体は、バクテリオシンと呼ばれる複数のタンパク質部品から構成される、天然のナノマシーンです。
ファージウイルスとバクテリオシンには不思議な共通点があり、共に足の部分で標的とする細菌を認識し、鞘の部分から杭を打ち込みます。
ファージウイルスはその杭の内部を通して、頭部に蓄えた遺伝情報を細菌に流し込み、細胞の自己複製機能を乗っ取って、自分(ウイルス)の体を複製させます。
一方、バクテリオシンには遺伝情報(核酸)がつまった頭部がなく、あるのは標的を認識する足のセンサーと、武器である杭を駆動させる機械的な仕組みだけです。
これはバクテリオシンが自己の増殖を目的としておらず、単純に相手を殺すキラーナノマシーンだからです。
ですが、なぜ緑膿菌がキラーナノマシーンを分泌するようになったかはまだわかりません。
近年における進化生物学の常識としては、生物が極めて奇妙な能力を獲得するときは、ウイルスの遺伝子を取り込んでいるケースがほとんどです。
バクテリオシンの構造や部品の稼働原理がファージと非常に似ていたため、緑膿菌が自身に感染したウイルスの遺伝情報を取り込んで、自分にとって有益な攻撃兵器に作り替えたのかもしれませんが、現時点ではわかっていません。
杭が射出される仕組み
画像:バクテリオシンが細菌の細胞膜に穴を開ける様子。6本の足で標的を認識し、杭を射出する/Credit:CNSI at UCLA.youtube
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バクテリオシンは、6本の足がそれぞれ独立して標的を認識しています。
6本ある足のうち3本の足が結合に成功すると、バクテリオシンは結合した相手が自分の獲物だと認識します。標的の認識が終わると、バクテリオシンは外側の鞘をギュッと下方向に向けて収縮させます。鞘を収縮させるためのエネルギーは、鞘の頂上部分に高エネルギー結合として蓄積されているとのこと。
鞘が収縮すると、内部の杭は押し出されるようにして、標的の細胞に大きな穴を開けます。穴をあけられた細菌は細胞膜の電位や、細胞の内外の濃度差を保てず、死んでいきます。
今回の研究では、バクテリオシンの詳細なタンパク質構造が調べられており、上の動画のようにバクテリオシンの動く仕組み(鞘の収縮や杭が回転しながら入っていく様子など)を解き明かしました。
人工のバクテリオシンを制作する
画像:遺伝子組み換えで変異体は酸性環境に耐性を得た
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バクテリオシンは緑膿菌のDNAに設計情報が記されています。
そのためバクテリオシンを標的捕捉型の抗生物質に改造するには、緑膿菌の遺伝子を書き換え、緑膿菌を抗生物質の生体工場にする必要があります。
ですが、簡単ではありません。
続きはソースで
https://nazology.net/archives/57116