新型コロナウイルス感染拡大を受けて県の休業要請が発表された20日、県内事業者は休業要請の対象になったところと、ならなかったところに分かれたが、どの事業者も先の見えない現状への不安を口々に語った。県の「協力金」については歓迎する意見のほか、金額に不満をこぼす声も聞かれた。

 「県からの休業要請があれば、従わざるを得ない」。会津若松市でマージャン店「すず女(め)」を経営する星明さん(81)はつぶやいた。

 マージャン店は県の休業要請の対象。10万円を基本とした県の協力金については「家賃や電気代を支払ったらなくなってしまう。店の管理者の給与も払えない」と不満を語った。

 福島市の麻雀(マージャン)クラブしのぶは5月末まで休業する。小島一成代表(78)は「今、5月分の家賃が払えない状態だ。休業補償はぜひお願いしたい」と語った。

 パチンコ店を展開するニラク(郡山市)は県の方針を受けて、県内21店舗の営業を21日から当面の間休止する。同社は「お客さまには不便をかけるが、理解をお願いしたい」としている。

 休業要請はこのほか、自動車教習所や学習塾、ゲームセンターなどが対象となる。いわき市の自動車学校タイヘイドライバーズスクールは「教習生の理解と協力を得ながら県知事の要請に応えたい」とした。同市の塾の代表は「塾によってはぎりぎりの運営のところもあり、補償はありがたいのではないか」と話した。

 福島市のゲームセンター「THE 3RD PLANET(ザ・サード・プラネット)ピボット福島店」は21日から当面の間、臨時休業する。時間を短縮して営業するなど感染対策を講じて営業してきたが、担当者は「休業はやむを得ない」と受け入れた。

 時間短縮の飲食店「経営の影響大きい」

 ホテル・旅館は、社会生活を維持する上で必要な施設として休業要請の対象にならなかった。会津若松市東山温泉の原瀧・今昔亭の総支配人平賀茂美さん(65)は「むしろ休止要請してもらった方がありがたい」と明かす。「あいまいな状態で営業が続いている。観光地の旅館は休止要請の方がいいのでは」と、感染拡大を防ぐ観点から意見を述べた。

 飲食店に対しては営業時間の変更が求められた。「営業時間の短縮が経営に及ぼす影響は大きい」。郡山市で居酒屋を経営する遠藤大士さん(46)は苦渋の表情で話した。4月は歓迎会などでかき入れ時だが、今年は例年の2〜3割にとどまっている。閉店時刻が早まれば先行きがますます不透明になり、資金繰りに不安が募る。「飲食店への補償も考えてほしい」と訴える。

 いわき市平のステーキ店「キャッスル牧場」の戸川紀一店主(78)は「1、2カ月は持ちこたえても、補償がないと厳しい」と話す。客数は3月ごろから例年の2割程度。「給料も払う必要があり、店を開けざるを得ない」と表情を曇らせた。

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