新型コロナウイルスに対する園内の消毒剤散布をチンパンジーにさせていたタイの動物園に、非難の声が集まっている。動物園スタッフが撮影したと思われる動画には、消毒剤を積んだ自転車に乗せられたチンパンジーの姿があった。『The Sun』『Mirror』などが伝えている。

タイのサムットプラーカーン県にある「サムットプラカーン・クロコダイル・ファーム・アンド・ズー」は、ワニや象のショーなどが楽しめる人気の動物園である。しかし現在、猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で一時閉園中となっている。

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そんななか、今月11日に動物園スタッフが撮影したと思われる、チンパンジーが園内に消毒剤を散布する様子を捉えた動画が人々の怒りを買ってしまった。

動画にはリードで繋がれてマスクを付けたチンパンジーが、ジーンズとオレンジ色のシャツを着せられて子供用の自転車に乗る姿があった。自転車の後部には消毒剤のタンクがあり、円状のパイプを通じて消毒剤が霧状に噴霧されている。

チンパンジーは慣れた様子で自転車を運転し園内を走行して回っているのだが、霧状の消毒剤がチンパンジーの体に付着してもおかしくない状態だった。この動画を目にした人達からは「これは虐待だ」「消毒剤が口に入ったかも」「なんて非道なことをするんだ」といった非難の声があがった。

そのため動物愛護団体「PETA」が関与することになったのだが、同団体の調査員が調べたところによると、このチンパンジーは来園客の目に触れない時間帯は小さな檻の中に鎖で繋がれた状態で飼育されていたという。

またPETAが過去に行ってきた調査で、衰弱した象への虐待、栄養失調のワニ、不潔なプールでクマが飼育されているなどが確認され、数年にわたって動物園に閉鎖するよう求めていた。

一方で動物園の責任者であるウテン・ヤンプラファコン氏(Uthen Yangpraphakorn)は、今回のチンパンジーの動画の件に関して次のように語った。

「政府が動物園の開園許可を出した場合に備え、我々は週に2〜3回は園内を消毒しています。よって、いざという時は再び来園者を受け入れることができるのです。」

「チンパンジーはきちんと訓練されていますし、閉園中に彼の気分転換のため消毒剤の散布に連れ出したまでです。」

しかしながらPETAではこの事態を見過ごすことはなく、今までの調査報告書を警察に提出し、動物園の調査を要請している。またツアー会社に対しては、以前から同動物園へ旅行者を連れて行くのを止めるよう働きかけており、アジア最大のオンライン旅行代理店は昨年8月に同動物園のチケットの販売を中止していた。

動画:https://youtu.be/Wr1Z_biclKk

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