英調査機関の「世界で最も生活費が高い都市ランキング2020」で、チューリヒとジュネーブは今年もトップ10にランクインしたが、どちらも昨年から順位を下げた。新型コロナウイルスの全体的な影響は、まだ見られない。

ランキングはエコノミストインテリジェンスユニット(EIU)が毎年発表。昨年は4位だったチューリヒは今年、パリと並び5位だった。

昨年5位のジュネーブは、10位だった。総合ランキング1位はシンガポール、香港、大阪だった。ニューヨークは3位から4位に落ちた。東京は8位。

EIUは毎年2回、世界133都市の消費財、賃料、交通費などの価格を調べてランキングにしている(詳細は文末の色付き記事を参照)。今年の報告書によると、生活費は平均約4%減少した。 2019年のランキングと比べ、欧州37都市のうち31都市の生活費は下がったが、米国の16都市のうち15都市では上がった。

報告書を執筆したニコラス・フィッツロイ氏は「欧州の都市は米国の都市に比べてさらに下落する可能性がある」と話し、その要因はユーロ安と需要の減少にあると指摘する。ユーロ圏の国はスイスにとって重要な貿易相手国だ。

9月と3月に行われた調査によると、一部の価格はすでに新型コロナウイルス感染の影響を受けている。EIUは、各地域・国のロックダウン(都市封鎖)の影響を注視している。

「ロックダウンが長く続けば経済的負担は重くなる。とはいえ、スイスのような(欧州の)国は、経済の相互依存を鑑みれば、他の欧州諸国の規制が大きな影響を及ぼすだろう」

観光は停滞
フィッツロイ氏は「我々は、2020年のスイス経済が約5%縮小するとみている。国内のロックダウンと国際的な渡航規制により、国内外の需要に影響が出ているからだ」と話す。

スイスの失業率は、米国や英国などの西側諸国よりも上昇スピードが緩やかだという。これは、需要減に伴う価格の下落圧力が、スイスではそれほど顕著ではないことを示している。

フィッツロイ氏は「ただ、スイスの観光業は短期的に甚大な打撃を受ける。これが需要抑制、ひいては価格の下落圧力の重要な要素になる」と語った。

スイス連邦政府は8日、新型コロナウイルスで経済は10.4%落ち込むとし、過去に例を見ない景気後退に陥る可能性があると述べた。


https://www.swissinfo.ch/blob/45702824/3fd9726263560455a5141c42b7e068f1/expensive_cities-jpn-data.png


swiss info 2020-04-22 07:30
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E8%B2%BB_%E7%94%9F%E6%B4%BB%E8%B2%BB%E3%81%AE%E9%AB%98%E3%81%84%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0-%E5%A4%A7%E9%98%AA1%E4%BD%8D-%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%92%EF%BC%95%E4%BD%8D/45705544