世界中で新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)が流行し、危機感が高まっている。
感染症拡散を防ぐためにさまざまな施策が行われており、そのうちいくつかは収束後も我々の社会に影響を残す可能性がある。
その中で私が気になっているのは、デジタル権威主義の台頭と強化だ。

 デジタル権威主義というと耳慣れない言葉かもしれないので簡単にご紹介する。
ネットを始めとするデジタル技術を利用した権威主義を指す。権威主義とはなんらかの権威に従う統治形態であり、非民主主義全般を指すこともある。
定義には幅がある。
独裁主義や全体主義を含めるものもあれば、民主主義と、独裁主義や全体主義の間に位置するものという考え方もある。

 最近の権威主義国家としては中国をイメージしていただくとわかりやすい。
中国は共産党が強権を持つ社会であり、個人の自由や権利は制限されている。
その一方で資本主義にも溶け込み、世界経済において重要な役割を果たしている。ネット化を進める一方、監視や検閲を強化している。

 中国のデジタル権威主義には3つの柱がある。社会信用システム、監視、検閲を含めた世論操作である。
この3つの柱は中国以外の現在の権威主義国家には多かれ少なかれ当てはまる。(参照:“世界70カ国で蔓延する政治家・政党による「ネット世論操作」。
それらを支援する企業の存在”2019年10月19日、ハーバービジネスオンライン)

(中略)

 テロ、暴動、パンデミックなどに対して監視や検閲は有用なツールになるので導入と活用が進むのだが、その一方で市民の自由や権利を大きく制限することになる。
一般的に自由と権利は、安全とは相反する。安全の重要性が高まれば高まるほど、自由と権利は制限されることになる。

■日本でも進む行動監視のためのデータ収集

 こうした監視には常に2つの側面がある。社会的に必要であり有用である面と、自由と人権を侵害する側面だ。
状況や使用目的によってどちらにもなり得る技術をdual use technologyと呼ぶが、その開発や使用には慎重でなければならない。
そして過去の事例を見る限りでは多くの場合、自由や人権を侵害することに使われるようになる。

日本でも同様の事態が進んでいる。先日、LINEがコロナに関するアンケート調査を行い、2,453万件の回答を得た。
(中略)
 こうした動きをしているのはLINEだけではない。代表的なIT企業であるヤフー、グーグル、日本マイクロソフト、LINE、楽天、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが参加した会合が持たれている。
これらの企業は法令の許す範囲で政府にデータ提供などの協力を行うだろう。(参照:“コロナ対策、位置情報活用に潜む「法律の穴」“2020年4月10日、東洋経済オンライン)

 もちろん、法令の許す範囲ということは、個人を特定できないデータということである。
しかし、前の節で紹介した各国の事例でもそうだが、匿名化されたデータ、メタデータなどといっても実際には特定が可能であることは少なくない。

全文はソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/33fb1735e74df098db58dca6aabbae1c8becb1c3?page=1