4/25(土) 9:05配信
毎日新聞
「地方の足」コロナで苦境 バス業界、収益源の長距離路線で需要激減
25日から運休する「でんでんむし」=盛岡市のJR盛岡駅前バス乗り場で
新型コロナウイルスの感染拡大により、地方の足を支えてきたバス業界が苦境に立たされている。政府が7日に首都圏などに対して緊急事態宣言を出した後、首都圏や関西への高速バスなどの需要が激減。都市部への高速バスの収益は、赤字路線もある路線バス事業をカバーしてきただけに、経営は厳しい局面を迎えている。【駒木智一】
盛岡市の岩手県北バスは、青森、岩手両県と東京方面を結ぶ高速バス5路線のうち4路線を運休した。残った1路線も乗客は各往復数人にとどまっており、燃料費も賄えない。運行ごとの消毒、全乗客へのマスク配布などの経費もかかる。同社の荒屋敷正剛さんは「完全に運休した方が楽かもしれないが、公共交通機関の使命として運行を続けている」と説明する。
秋田県大館市の秋北バスは8日以降、東京への高速バスを運休している。7日までの利用者は例年と比べて8割減で、4月の利用者は対前年比で96%減となる見込みだ。観光バス事業の売り上げは対前年比で3月が6割減、4月は現時点で99%減という。このため同社は路線バス運行に必要な人員を確保した上で、社員の一時休業と役員報酬の減額を実施した。秋北バスの担当者は「現時点では5月6日以降の予約もほとんどない」と明かす。
山形県鶴岡市の庄内交通は2月末以降、100以上あったという予約が軒並みキャンセルになった。観光需要が少ない積雪期の大きな収入源だったスクールバスの運行も学校の臨時休校により打撃を受けたほか、高速バスも稼ぎ頭の東京ディズニーリゾート行き、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン行きがいずれも閉園の影響で需要が激減し、運休に追い込まれた。
3月の需要は高速バスが6割減、観光バスが8割減だった庄内交通。4月はいずれも9割減が見込まれているという。同社の高橋広司さんは「地方のバス会社の経営状態は逼迫(ひっぱく)しているが、路線バスの運行を止めるわけにはいかない」と話している。
◇盛岡の循環バス「でんでんむし」25日から運休
岩手県交通は、盛岡市の中心市街地を循環するバス「でんでんむし」を25日から運休することを決めた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で利用客が大幅に減ったため。
でんでんむしは運賃一律100円で市内の公共施設や観光拠点を回ることができ、多くの市民に利用されている。しかし、3月の利用客は5万2000人と、前年同月と比べて半減した。
同社は運行再開について、状況を見て判断していくとしている。担当者は「でんでんむしの路線は、一般バス路線でもカバーできているので、運休中はそちらを利用してほしい」と話している。【日向米華】
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