4/25(土) 9:36配信 弁護士ドットコム

女優、岡江久美子さんが4月23日、新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなりました。訃報が伝えられたあと、YouTubeには「岡江久美子の息子です」と名乗る動画が多数アップされました。中略

話題となった人の親族や関係者であることを名乗って、動画をあげることに法的な問題はないのでしょうか。小沢 一仁弁護士に聞いた。

●ただちに法的な問題とはならないが…

ーー投稿者はなりすまし動画をあげて、再生数を稼いでいるようにも捉えられます。こうした行為、法的には問題ないのでしょうか

「話題となった人」が存命中かどうかで適用されうる法律が異なるので、分けて考えたいと思います。

まず、亡くなった人の親族などであると名乗ることは、それ自体がただちに刑事上の犯罪行為や民事上の不法行為などに当たるわけではないと思います。

ただ、その具体的な表現内容によっては、刑事上は死者に対する名誉毀損罪(刑法230条2項)、民事上は遺族に対する人格権侵害(遺族の死者に対する敬愛追慕の情の侵害)による不法行為(民法709条)が成立する可能性があると思います。

なお、死者に対する名誉毀損は、生きている人の名誉毀損と異なり、摘示した事実が虚偽でなければ処罰されません(刑法230条2項)。

ーー存命中の人に関するものはどうでしょうか

生きている人の親族などであると名乗ることは、これも、それ自体がただちに刑事上の犯罪行為や民事上の不法行為等に当たるわけではないと思います。

ただ、具体的な表現内容によっては、その人に対する名誉毀損罪(刑法230条1項)、侮辱罪(刑法231条)や、事業者に対するものであれば、業務妨害罪(刑法233条)などが成立する可能性があります。

民事であれば、同様の理由で当該生きている人に対する不法行為(民法709条)などが成立する可能性があります。

●「フィクション」と前置きしていたら?

ーー中には動画の概要欄に「動画は一部の動画(実体験シリーズ)を除いて全てフィクションです。エンタメとして観て下さい」と書かれているものもありました。こう書かれている場合も、法的な問題になりえますか

名誉毀損については、内容が虚偽とわかっているため社会的評価が低下するのか、侮辱については、侮辱といえる程度に名誉感情が侵害されるのか、業務妨害については、その危険のある行為といえるのか、などという問題はありますが、このような断りを入れたからといって必ず法的責任を免れるというわけではありません。

対象となる人が生きているかどうかにかかわらず、人の尊厳を害するような行為をすべきではありません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e063740f0ef4c9f2dacdb2b21a1a0f2e8c5dbab3