【北京、ソウル、ハノイ共同】中国、韓国など東アジア諸国で新型コロナウイルス新規感染者の減少が顕著だ。域内で人の往来も再開しつつあり、経済活動復旧の動きが加速する。感染者の増加傾向が続き、緊急事態宣言延長の必要性も指摘される日本との差は明白で、周辺国からの出遅れが景気悪化の追い打ちになる恐れもある。

 中国の新規感染者は2月中旬に連日2千人以上だったが、3月以降は100人を下回る日が多い。累計約8万3千人で、国別では世界9番目に下がった。韓国も3月中旬以降は終息傾向にあり、最近では1桁台の日も多い。累計1万人余りで4月20日に日本が追い抜いた。台湾やベトナム、マレーシアも抑え込みに成功している。

 外国人を原則入国させない措置を3月下旬から続けてきた中国は、人の往来を一部再開することで韓国、シンガポールと合意。中国外務省の耿爽副報道局長は21日「経済協力を安定させ、国際的なサプライチェーン(部品の調達・供給網)を守るためだ」と説明した。

 報道によると、中国側は韓国電機大手サムスン電子の従業員200人の入国を許可。半導体メモリー工場の拡張に当たる。また中韓両政府は9日、医薬品などの知的財産権保護を担う省庁同士のテレビ会議も実施した。

 韓国も感染状況が比較的落ち着いたアジア各国に経済攻勢をかける。張夏成・駐中国大使は20日「中国の武漢が正常化する時、われわれが最初に韓国企業の商品展示会を開催する」と強調した。

 外国人の入国を3月中旬に事実上禁じたベトナムは、一部韓国企業の技術者ら約2千人の入国を認めることを決定。既に千人以上が到着した。スマートフォンの生産拠点を置くサムスン電子が強く求めたほか、文在寅大統領もグエン・スアン・フック首相との電話会談で直接要請した。

 一方で日本企業には禁止措置が続く。ベトナムの日本企業関係者は「とにかく韓国は官民挙げての対応が速い」とし、日本政府に民間を後押しするよう求めた。

2020.4.26 18:15 共同通信
https://www.47news.jp/national/new_type_pneumonia/4757179.html