新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、十分な医療設備が整備されていない離島の水際対策は必死だ。長崎県の壱岐島や 北海道の利尻島など、離島でも感染が広まりつつある。そうしたなか、瀬戸内海東部に位置する豊島(てしま、香川県土庄町)では、来島自粛呼びかけの一環で、島を感じられるウェブサイト「Stay home save Teshima」(家にいて豊島を救おう)が立ち上がった。(オルタナ副編集長=吉田広子)

瀬戸内海に浮かぶ豊島は、人口約800人、高齢者が50%以上を占める離島だ。瀬戸内国際芸術祭の会場の一つで、近年は「アートの島」として人気を集めている。

島内には豊島診療所とその唐櫃出張所があるものの、医者は常駐しておらず、救急車もない。搬送が必要になった場合は、定期便フェリーや漁船をチャーターして島外の病院に向かう必要がある。

NHK高松が24日に報道した「新型コロナ 医療崩壊は防げるか」では、香川県の「離島で陽性者が確認された場合の対応は(搬送方法を含め)未定であり、逐次対応していく予定」という現状が明らかになった。

豊島巡回診療所の看護師・小澤詠子さんは、「水際対策が最重要課題の中、新型コロナ感染に戦々恐々としている。島には高齢者・障がい者福祉施設もあり、感染拡大すれば地域医療・介護が崩壊しかねない。一方で、 島内の人間関係が壊れるリスクがあり、帰島・帰省自粛を実効的に促すことが想像以上に難しい」と胸の内を明かす。

■「何とか島を守りたい」
そこで島内の有志は、来島しなくても島を感じられるサイト「Stay home save Teshima」を立ち上げた。

豊島に住んでいたり、これまで豊島を訪れたりしたことがある人たちが、お気に入りの豊島の写真に「 #stayhomesaveteshima」 を付けてインスタグラムにアップすると、それが自動的にサイトに集約される。サイト上には皆の心に生きている豊島の風景が一覧で並ぶ。

「Stay home save Teshima」のロゴは誰でも自由にダウンロードできる。それを写真に合成して、各自のSNSなどで、来島・帰省自粛を広く呼び掛けてもらうことも期待している。

「サイトを立ち上げたメンバーもそれぞれ、病と闘っていたり、飲食業などを自主休業していたり、要介護の親に無理を強いていたり、という事情を例外なく抱えている 。それでも、他者を攻撃・排斥することなく、愛する我が子を帰省させたいと思う親心も十分分かったうえで、何とか島を守りたい、という一心で取り組んでいる」(小澤さん)

緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大され、ゴールデンウィークを迎えた。いまだ収束の見通しが立たないなか、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する一人ひとりの意識が問われている。

4/27(月) 14:21配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200427-00010002-alterna-soci