石川県の谷本正憲知事は27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。自衛隊は同日、軽症や無症状の患者を病院から宿泊療養施設に搬送する作業を開始し、初日は8人を移送した。県は今後、作業を民間交通事業者に委託することも検討している。



 派遣期間は5月3日まで。県は隊員や家族への風評被害を懸念し、搬送支援に当たる自衛隊の部隊名を公表していない。



 移送は防護服を着た隊員2人が、感染防止策を講じた8人乗りのマイクロバスで行う。入院中の病院で患者を乗せ、県が借り上げている「東横イン金沢兼六園香林坊」(金沢市)まで運び、看護師に引き継ぐ。一日当たり5〜10人の移送を想定している。



 県内では、感染者の増加で病床不足が懸念される。県は16日から、無症状・軽症者の療養用にホテルを借り上げ、患者の移送は保健所職員が担っていた。



 県は、職員の負担を減らすため、移送を民間事業者に委託する方向で調整している。そのため、自衛隊は車内の感染対策や防護服の着用方法、移送時の注意点を事業者に指導する。



 谷本正憲知事は27日、県庁で記者団に対し、「移送は手間暇がかかる。ノウハウを持つ自衛隊に搬送業務をお願いし、保健所には検査に専念してもらう」と話した。民間委託については、「派遣期間中に方向性を出せるように最善を尽くす」とした。

2020/04/28 02:07
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