新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため外出を控える異例の大型連休が29日、本格的に始まった。例年ならにぎわう各地の観光地では多くの店舗がシャッターを下ろし、目抜き通りにも人影はまばら。かき入れ時に休業を余儀なくされた地元の店主らは「今はやむを得ない」と肩を落とす。ウイルスを抑え込むための我慢の時が全国各地で続いている。

温泉地として人気の神奈川県箱根町。いつもの大型連休には観光客らで混雑する箱根湯本駅前は29日、静まり返っていた。商店街の数十店はシャッターを閉めるなどして休業し、足湯は湯が抜かれ空っぽ。東京方面から午後2時ごろ同駅に到着した小田急ロマンスカーから降りた客は数人だけだ。にぎわいが消えた温泉街に、感染対策の除菌水の無料配布を伝える防災無線が響いていた。

「これほど人のいない箱根は初めて」。老舗梅干し店「村上二郎商店」の店主・村上高嶺さん(75)は寂しげにつぶやく。3月の売り上げは例年と比べ6〜7割減少。「店を開ければ人が来てしまう」と4月からは営業を休んだ。掃除のために店へ毎日足を運ぶが、再開する日は見えない。「苦しいが仕方がない」

箱根町は小田原市などと共に23日、観光での来訪自粛を呼びかけ、大型連休中は箱根のホテル・旅館200施設のうち6割が臨時休業する。町では2019年10月の台風19号により旅館や商店が被災し、復旧作業を進めるなかで新型コロナの感染拡大が直撃した形だ。

同町の森下良さん(44)は親族が町内で経営する旅館が新型コロナの影響で4月25日から休業している。「経営は厳しい。町はまだ台風からの復興の途上で、ウイルスでダブルパンチの状態だ」と話した。

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日本経済新聞 2020年4月29日 12:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58621600Z20C20A4CZ8000/