外務省は、新型コロナウイルス感染拡大が最初に確認された中国湖北省武漢市からの邦人退避を教訓に、海外で感染症やテロなどが発生した際に在留邦人の帰国支援に当たる「機動チーム」を新設する。
医療品や防護服など必要物資を備蓄するほか、緊急時に、地域の事情に詳しく語学が堪能な職員を迅速に派遣できる体制を構築する。
 武漢市のケースでは、日本政府は1〜2月にかけ、チャーター機を計5便送り、日本人とその家族ら計828人を帰国させた。この際、在北京大使館の職員を陸路、現地に派遣。本省職員もチャーター機に同乗させ、
支援作業の陣頭指揮に当たらせた。
 ただ、急な対応を迫られる中で、要員確保には苦労もあった。関係者によると、邦人保護業務を担う領事局の職員だけでは足りず、「急きょ、中国語が分かる職員をかき集めた」という。こうした経験から、
帰国支援に機能を特化したチームの常設が望ましいと判断した。
 外務省は4月30日に成立した2020年度補正予算に、備蓄品や機動チームの移動にかかる経費を含む邦人保護等拡充費として、35億円を計上した。地域別に20人程度のチームを編成することも検討している。
 武漢での経験を踏まえ、茂木敏充外相は記者会見で「各国の在留邦人や日本人旅行者の保護、支援を強化していく必要を強く感じている」との問題意識を示していた。

ソース:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050200112&;g=cov