大谷直人最高裁長官は、3日の憲法記念日を前に記者会見を開き、新型コロナウイルスの影響で、緊急性が高い案件を除いて裁判が開けない状況になっていることについて「再開は重要な課題。適正な裁判の実現は司法の使命で、最善を尽くす」と述べた。

 政府の緊急事態宣言の発令を受け、全国の裁判所は業務を縮小し、多数の裁判の期日を延期した。市民が参加する裁判員裁判など注目裁判も含まれており、大谷長官は「裁判員や当事者の不安を解消すべく、きめ細やかに対応することが必要」と強調した。

 一方で、再開に向けては、感染の状況や地域の実情、感染防止の工夫を検討する必要があるとの認識を示し、「正常に戻す道のりは即座に達成できない。画一的に運用するのは難しい」との考えを示した。

 民事裁判では、迅速な審理を実現するため、2月から裁判所と弁護士事務所などをインターネットでつなぐ「ウェブ会議」が一部で始まっている。大谷長官は「感染拡大の局面で有用な面がある。時代の要請に応える制度改革を実現したい」と、IT化に意欲を示した。【近松仁太郎】

毎日新聞2020年5月3日 05時00分(最終更新 5月3日 05時00分)
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