ロシアが第二次世界大戦の終結日を旧ソ連時代に「対日戦勝記念日」としていた9月3日に変更したことをめぐり、日本政府が「日本にとって好ましい日ではない」との懸念をロシア政府に伝えていたことが3日、分かった。ロシア側には対日戦勝と大戦終結を重ねることで北方領土の占拠を正当化する狙いがあるとみられ、今後の領土交渉に影響を与える可能性もある。

 ロシアはこれまで、昭和20年に日本が降伏文書に調印した9月2日を終戦の日としてきたが、旧ソ連時代に対日戦勝記念日としてきた9月3日への変更を盛り込んだ法案が4月に上下両院で可決、プーチン大統領が署名した。9月3日は中国も「抗日戦争勝利記念日」としている。

 戦後75年の今年は、9月3日に大規模な対日戦勝記念行事が開催される公算が大きく、旧ソ連が日本のポツダム宣言受諾後に強行した北方四島の占領も祝賀の対象とされかねない。日本政府は在露日本大使館を通じて懸念を伝達したが、露側が姿勢を変える可能性は極めて低い。

 ロシアは今月9日にモスクワで開く予定だった対独戦勝75周年記念式典に、各国の首脳とともに安倍晋三首相も招待。首相は出席して、プーチン氏との会談で北方領土問題を解決する平和条約締結交渉を進める意向だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で式典は延期となった。露側では新たな日程として9月3日開催案が浮上している。

2020.5.3 20:41
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