毎日新聞 2020年5月4日


 黒いスーツ姿の若い男性がなれなれしく声をかけてくる。客引きだ。マスクを着けないまま近づいてきた。「今日はどっち系ですか。朝まで飲んじゃいましょうよ」。こんな誘い文句を耳にしたのは、午後8時になる少し前だった。

 4月28日の日中から深夜にかけて、新宿・歌舞伎町を歩いた。新型コロナウイルスの「緊急事態宣言」が出てから3週間。すでに街のネオンは半分ほど消えた。居酒屋を含む飲食店に、都が午後8時までの店じまいを要請したことは、相応の効果があったようだ。

 それでも、日が暮れるにつれて人通りは増え、開いている居酒屋は若者たちでそれなりににぎわう。別の客引きの男性(23)は「自粛疲れからか最近、客が増えた」と証言する。周辺ではいまも、20店舗以上のキャバクラやガールズバーが営業しているという。

https://mainichi.jp/articles/20200504/ddl/k13/040/015000c