政府が5月6日に期限を迎える緊急事態宣言について延長する方針を固めました。日本では感染終息の見通しが立っていないため、延長はやむを得ない措置ですが、果たして企業は耐えられるのでしょうか。

安倍首相は4月29日、コロナウイルスの感染が拡大している現状について「依然厳しい状況が続いている」と述べ、専門家の意見を聞いた上で、緊急事態宣言の期限延長について最終判断する考えを示しました。専門家会議は、期限を延長する必要があるとの認識で一致しており、政府は1カ月程度、宣言を延長する方向で調整を進めています。

そうなると5月いっぱい、企業活動が制限されることになりますが、経済が人とモノの動きで成り立っている以上、感染拡大防止という点では相応の効果が見込めるのは間違いありません。一方で、2カ月近く、経済が停滞するということになると、体力の弱い企業の中には資金的な余裕がなくなるところも出てきます。

10億円以上の資本金を持つ大企業の場合、240兆円もの内部留保を確保しており、流動性の高い現預金だけでも64兆円もあります。すべての大企業で売上高が2割減少しても1年以上、耐えることができます(銀行借入れの返済が均等だと仮定)。しかしながら、資本金1000万円以下の中小企業の場合、そうはいきません。

中小企業の中でも体力のあるところは大丈夫ですが、宿泊業など資金繰りに余裕のない業界では、単純計算で2カ月強しか現金の余裕がありません。資本金1000万円から2000万円でも、宿泊業の場合、4カ月程度で現金が底を突いてしまいます。

実際、全国で27のホテルを展開している大阪の「WBFホテル&リゾーツ」は、宿泊客のキャンセルが相次ぎ、民事再生法の適用を申請するなど、宿泊業での倒産が相次いでいます。
飲食業も初期投資の負担が大きい業態なので、今後は飲食業での倒産も増えてくる可能性が高いでしょう。

倒産が増加して仕事を失う労働者が増えてくると、失業手当の給付や生活保護の給付が増加し、最終的な政府の負担も増えることになります。
休業補償などを手厚くしないと、経済的な問題が大きくなる可能性は否定できないでしょう。また営業活動の自粛が長引けば、産業界の中からは経済活動再開を求める声が大きくなることも十分に考えられます。
最終的にどのような形で出口戦略を描くのか、期間の延長と同時進行で検討する必要がありそうです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5b4cf856ad69625fec36fc8ae263658982957720
5/4(月) 10:21配信