【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)は8日、中国政府系英字紙チャイナ・デーリーがEU27カ国の駐中国大使による共同寄稿の掲載にあたり、ウイルス起源に触れた部分を削除したことに対し、「遺憾」を表明した。

 寄稿はEUと中国の関係樹立から45年にあわせ、コロナ対策や環境、人権問題などで双方の協力の重要性を訴えたもの。原文には、感染は「中国で始まり、3カ月間のうちに、世界の他地域でも続いて広がった」と記されていたが、同紙はこの部分を削除した。

 8日のEU声明は、事前に同紙から「ウイルス起源についての記載を削除しなければ、外務省は掲載を認めない」という連絡があったと明かした。そのうえで、「EU側のメッセージを伝えることが重要」と判断し、該当部分を削除した寄稿の掲載を容認したとしている。

 中国側の削除要求は、ウイルス起源をめぐる米中対立への配慮とみられている。EUと独仏、イタリアは在中国大使館のウェブサイトなどを通じて、原文を公表した。

https://www.sankei.com/world/news/200508/wor2005080025-n1.html