5/9(土) 11:00配信

里親に応募して、犬・猫をだまし取る『里親詐欺』が多発している。その目的は虐待や売買などとみられ、過去には逮捕され有罪になったケースもある。言葉巧みに近づくその手口とは──。

プロも騙される巧妙な手口

『里親になります。大切に育てます』。そう申し出て、猫や犬をもらい受けながら転売や虐待などをする「里親詐欺」が問題になっている。

 一般社団法人 動物愛護団体『愛の肉球会』監事の今津秀行さんは、

「春から秋くらいまでの子猫が生まれる時期は詐欺被害が多くなります」

 加えて今年は、新型コロナウイルスの被害が蔓延し、終息のめどが立っていないという悪条件も重なる。猫の保護活動を行う、NPO法人『もふっこひだ』理事長の袈裟丸聡美さんは危惧する。

「今、(保護を願う)問い合わせが増えています。犬猫は生活の中で最も弱い立場なので、コロナ騒動でも大きな影響を受けると思います。収入もなく、家賃も払えないとなれば飼っている動物のえさも買えず、手放すことを考える人は出てくるでしょう」

 面倒な手続きを省いて一刻も早く手放したいと考える飼い主がSNSなどを通して個人間取引を呼びかける→それに詐欺師らが食いつく、という構図ができあがる。

 通常、里親になりたいと思っても犬・猫の引き取りにはお金がかかることがある。

 袈裟丸さんが明かす。

「注意深くやっている団体は譲渡する場合に少しお金が必要なことがあります。譲渡する犬猫の飼育費、避妊代、ワクチン代などどんな健康な子でも検査や治療などを含め、3万〜5万円は費用がかかります。その一部負担分くらいをいただきます。すべてを団体の持ち出しだけでやっていたら活動自体もつぶれてしまいますから」

 ところが、最初からだますつもりの人間は出費を惜しむ。前出・今津さんは、

「詐欺を働く人間は、費用がかかることまではやろうとしない。無償でもらえる子に応募するんです」

 なぜ詐欺師らは犬・猫を手に入れようとするのか。金銭的に儲からなければ、食指を動かすはずはない。

「理由のひとつがブローカーとブリーダーの存在です」

 そう指摘する前出・袈裟丸さんは、かつて見聞した出来事をまじえ、こう伝える。

「黒猫と黒い柴犬が流行したことがありました。一部の国で縁起がいいなどの理由から人気があり、外国人向けに売買しようと動いていた人たちがいたためです。里親募集の掲示板やSNSも黒猫ばかりにアクセスが集まったときもありました。

 ブリーダーは、避妊・去勢をしていない犬猫を欲しがります。増やして売るためです。ペットショップに裏から安価で販売する人も結構いるんです。仕入れ値が安ければ儲かりますから」

 ほかにも『里親詐欺』をはたらく目的として、

「不適切な目的です。要するに虐待目的ですね。SNS映えするからちょっと飼ってみたいな、という理由の人もいます」(前出・袈裟丸さん)

 猫の『里親詐欺』に詳しい愛護団体関係者は、匿名を条件に取材に応じてくれた。

「同じような猫ばかりを集める転売者、動物実験で使う猫を里親サイトで探す医療関係者もいました。単身男性だと警戒されてなかなか猫を譲渡してもらえないので、知っている夫婦にお金を渡し転売してもらっていたケースもあります」

 と実情を明かし、

「狙われるのがSNSや掲示板を利用する一般の方。特に自宅繁殖を繰り返す人は注意が必要。子猫は可愛いと、どんどん産ませて、すぐに里親に出す人は狙われやすい。安易に渡せば虐待されて、殺されることもあるんです」

 しかし、見極めは難しい。

「実は私も里親詐欺にあったことがあるんです」

と前出の愛護団体関係者は、プロでも欺かれる現状を次のように告白する。

続きはソース
https://www.jprime.jp/articles/-/17790