2020年5月9日 10:00 
発信地:ルバンゴ/アンゴラ [ アンゴラ アフリカ ]

【5月9日 AFP】母親に畑用の水をくみに行かされるたびに、テハンジラ・ケッサール(Tehandjila Quessale)さん(16)の気持ちは沈んだ。アフリカのアンゴラ南部ウイラ(Huila)州に住むケッサールさんは、3時間歩いて水をくみに行くために学校を早退しなければならなかった。それが家から一番近い水くみ場で、着いた後も長い列に加わらなければならない。

 大抵はバケツに水をくみ終わるころには日が暮れてしまい、ケッサールさんは襲われるのではないかと怯えた。知り合いの少女2人が、村へ帰る夜道でレイプされたからだ。

干ばつ被害に見舞われているウイラ州があるアフリカ南部では、数年に及ぶ雨不足で大半の水源が枯渇し、作物が壊滅的な被害を受けている。国連(UN)によると約4500万人が広がり続ける飢餓に直面している。

 だが、日照り続きの後の不安定な豪雨のせいで、土壌は飽和状態となった。寝室が一つしかない石造りの家に母親ときょうだい6人で住むケッサールさんは、今では近所の湧き水をくむことができる。

 しかし、家族で育てていた穀物は不作で、食料はなかなか手に入らず、不安は尽きない。おまけにほとんどの男性たちは仕事を求めて街に出てしまい、子どもたちの空腹を満たす役割は女性たちに委ねられている。

 救援活動家らによると、どうにかして金銭と食料を手に入れるために体を売っている少女たちもいるという。

「気候変動は女性たち、特に子どもを産む年齢にある女性や少女たちの人生に非常に大きな影響を与えている」と、国連人口基金(UNFPA)のアンゴラ事務所代表フロルベラ・フェルナンデス(Florbela Fernandes)氏は言う。

 異常気象が引き起こす危機で打撃を受けるのは圧倒的に「弱者」で、弱者はまた、暴力や虐待にもさらされていると同氏は指摘する。

■特に弱者となる少女たち

 国連によると、気候変動によって移住を余儀なくされている人の8割は女性だ。ケッサールさんの母親のムサカ・フェルナンダ(Mousaka Fernanda)さん(47)は何とか同じ村にとどまって、できる限りのことをして子どもたちを養おうとしている。夫は昨年、約20キロ離れたルバンゴ(Lubango)市で警備員の職を見つけた。しかし、めったに仕送りをしてこない。

「子どもたちは、父親がいなくて泣いているのではない」。フェルナンダさんはトウモロコシの芽を取り出し、乾いて絡まったひげを見せながらこう言った。「子どもたちは私に向かって、何か食べ物を探してと言って泣く」

 干ばつに見舞われてから、フェルナンダさんは食料を買うために自家製の酒を売っている。2杯の酒を売って買えるトウモロコシは1キロ余りだ。自分と子どもだけでもそれでは十分ではないのに、身の回りのことができなくなった年老いた母にも分けなければならない。

 人道支援NPO「ワールド・ビジョン・アンゴラ(World Vision Angola)」の児童保護専門家、アナイナ・ロウレンソ(Anaina Lourenco)氏は「干ばつのとき、特に弱者となるのは少女たちだ」と指摘する。「幼いきょうだいの面倒をみる責任を負うのは大抵少女たちで、彼女たちの教育が犠牲となる」 (c)AFP/Sofia CHRISTENSEN
https://www.afpbb.com/articles/-/3274824?act=all