5/9(土) 15:34配信
神戸新聞NEXT

営業収入9割減、5月の稼働は予約含めゼロ「バスの出番がない」 コロナ禍で厳しさ増す事業者
新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の発令を受け、観光バスも駐車場に止まったまま=神戸市内(撮影・鈴木雅之)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、兵庫県バス協会に加盟する主要バス事業者の観光(貸し切り)バスの4月の営業収入が、前年同月に比べて約9割減ったことが9日、同協会への取材で分かった。緊急事態宣言に伴う移動制限で人気ツアーなどの相次ぐ中止が響いた。終息後も需要の回復には時間がかかるとみられ、事業者には厳しい状況が続きそうだ。(三島大一郎)

【写真】出番なしの観光バス 駐車場にずらり

 「旅行や結婚式、部活動の送迎もなくなった。バスの出番がない」

 中型と小型のバス計7台を保有する山南観光(丹波市)。同社によると、3、4月は葬儀の送迎などが数件あっただけで、5月の稼働は予約も含めてゼロ。収入が減るなどした企業に支給される国の「持続化給付金」や「雇用調整助成金」を申請する予定という。

 同協会に加盟するバス事業者は計100社。神姫バス(姫路市)や日本交通など主要事業者を対象にした観光バスの調査では、花見ツアーや学校の遠足などがほぼキャンセルになり、3月の営業収入は前年同月比67%減、4月は同92%減だった。

 各事業者は運転士やガイドに休業を指示。貸し切りバスを運行するのは中小事業者が多く、税金や車検代、車両のリース代などがかさみ、車両を手放すケースも出てきているという。


 一方、4月の一般路線バスの利用者も全体で約6割減少した。緊急事態宣言が出た後も、公共交通機関は事業継続が求められている。「全便休止の選択肢もある中、使命感で運行している」(同協会)が、日々採算割れに陥っているという。

 同協会によると、多くの事業者は、数少ない一般路線や高速、観光バスの黒字で、大半の一般路線の赤字をカバーしている。しかし、コロナ禍で頼みの高速、観光バスの稼働が壊滅状態に。償却費や人件費などの固定費が負担となっている。

 国の支援策として、収入が半減した企業に支給される「持続化給付金」があるが、複数の車両を保有する事業者には不十分だ。

 企業が従業員に支払う休業手当の費用を穴埋めする「雇用調整助成金」も、路線バス事業は大幅な減便ができず乗務員を休ませられないため、助成金を得られない事業者が出る可能性があるという。

 同協会の長尾真会長(神姫バス社長)は「公的融資の利用などで何とかしのいでいるが、主要事業が観光バスの企業では(資金繰りの悪化は)時間の問題」と指摘。その上で「新型コロナの影響が秋まで続けば、学校の修学旅行などが中止になる可能性もある。相当な痛手になる」と危機感をあらわにした。

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200509-00000011-kobenext-bus_all