いまだ様々な自粛が続く新型コロナウィルスの感染拡大問題ですが、紳士服業界にも大きな変化をもたらしそうです。紳士服、いわゆるメンズのスーツは2005年のクールビズ開始以来、カジュアル化、簡素化が進められ大きく変化しました。

当然、恩恵を被った企業やメーカー、ブランドもありましたし、ネクタイ業界のように逆に割を食った先もありました。2010年ごろからのSNSの普及やネット通販の浸透などで、服装規定のゆるいIT業界が注目されたこともあり、ますますカジュアル化は進んだといえます。

テレビ会議の普及で紳士服はコロナ収束後も売上減少の一途か
今回のコロナショックが起きる前から、青山商事、AOKIホールディングス、コナカ、はるやまホールディングスの紳士服大手チェーン4社の決算はすでに崩れていました。理由はカジュアル化・簡素化の進展とともに、最大人口であった団塊世代の引退です。これによってスーツ需要は激減しました。

引退後、仕事もしないのにスーツを着るという人はほとんどいません。現役世代でも、休日にわざわざスーツを着る人はいないでしょう。こういったことを背景に、2017年以降はスーツの需要そのものが激減しました。

今回のコロナショックでは、他分野のアパレル同様に多くの店舗が営業時間短縮や休店しているため、4月以降の紳士服大手チェーン各社の売上高は壊滅的に悪くなるでしょう。また、入社式を取りやめにした企業も少なくなかったため、入社式用のスーツ販売も振るいませんでした。

緊急事態宣言が解かれた後も、テレワークやビデオ会議の普及・浸透によって、今まで以上に上下セットのスーツの需要は減ることになりそうです。ビデオ会議で映るのは上半身だけであり、下半身は映らないため何を穿いていても関係ないということになれば、わざわざスーツを買う必要がなくなります。

よくてテイラードタイプのジャケットが売れるくらいで、シャツ類の売れ行きがメインということになるでしょうから、スーツよりも客単価はさらに下がります。
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