茨城)生ビールから消毒液 木内酒造提案、大手2社協力


2020/5/10 10:30

県内でビールを製造する酒造会社3社が、新型コロナウイルスの感染拡大で出荷の見込みがなくなった在庫をもとに、手指の消毒に使える高濃度エタノールづくりに乗り出した。工場のある地元に計1260リットル分を無償で贈り、感染への備えに役立ててもらう。

手を携えたのは、取手市に取手工場を構えるキリンビールと、守谷市に茨城工場を持つアサヒビール、那珂市に拠点のある木内酒造。消毒液が不足するなか、木内酒造が「自分たちにできる貢献を」と持ちかけ、大手2社が応じた。
 外出自粛や飲食店の休業により、鮮度が重要なたる入り生ビールに在庫が生まれているという。大手2社がこうしたビール計2万4千リットルを提供し、石岡市に蒸留所を持つ木内酒造が蒸留を担当する。すでに作業に入っており、消毒液として使えるアルコール分70%まで高めれば完成だ。今月中旬に出庫できる見込みで、3リットル入りペットボトルと300ミリリットルのガラス瓶の2種類を用意する。
 寄贈先は県庁のほか、それぞれの工場などが立地する取手、守谷、石岡、那珂の各市。病院への配布を想定するが、具体的な活用法は各自治体に任せる。費用約250万円は3社で分担するという。一般への販売はしない。
 木内酒造の木内敏之副社長は「アルコールを扱うノウハウのある我々が一つになり、日ごろ世話になっている地元にお返しをしたい」と話した。(庄司直樹)

https://www.asahi.com/sp/articles/ASN596VHXN58UJHB001.html